« 2006年09月 | メイン | 2006年11月 »

2006年10月28日

一つの四季報の見方

この株式教室も続けてずいぶん経ちますね。今日は相場の流れに乗る投資の仕方と業績推移を見ながら投資をする二通りのやり方がある事を考えましょう。

「今日の市況」では、主に相場の流れを中心に解説しています。現在の流れはトヨタを中心とする国際優良株の流れです。自動車株がPER20倍近くに買われるのは考え辛い光景ですが、省エネ化を推進した日本車の躍進振りを見れば、ある程度は頷けるのも事実です。そうして、ソフトバンクと言う新興株のエースが相場の流れを作っています。しかし、そのような相場の流れと違う個別株も大きく上がる事があります。業績への変化率を捉えた相場ですね。

株価は業績が良くなれば、必ず上がるのですが、年がら年中、株価が上げ続けるわけではありません。仕掛けどころがあり、現在のような決算発表の季節は、その仕掛け時期の一つでもあります。しかし業績が向上しない銘柄を仕掛けても一時的な現象に終ります。どの株もしばらく時間が経過すれば、業績に結び付かないと、何れ夢は冷めて人気は下火になり、株価も下がります。だから自分が買おうと思う銘柄に、本当に業績を向上させる根拠があるのか? 考えねばなりません。

基本は業績動向です。

一時、人気になった富山化学は合成抗菌剤「T-311」の承認申請取り下げで人気が冷めました。もともと一株利益から見ると過大評価だったのですが、この新薬が認可されると大きな利益が転がり込み、株価に見合った利益になると期待され、一時は1400円台まで上がったのですが…新薬の見込みが薄くなり、株価は500円台に急落しました。

このケースに見られるように、会社の収益の読みが当たるかどうか?
時代は変化し経済も変わっていますが、幾つかの山を越え、確実に収益を伸ばせるかどうか?ここに株式投資の夢を抱き、可能性にかけるのです。富山化学のケースはT-311と言う薬品に夢を乗せたのでしょうが、どうも自ら承認申請を取り下げるということは、何か訳があるのでしょうね。幸い富山化学は、他にも新薬候補があるようですが…。私には怪しいように感じます。この程度の会社の実力で、いくつもの新薬の研究が出来るとは…。まぁ、どうなるか分かりませんが…

以前、損益分岐点の解説のときに、かたるは銘柄選びの基本は、赤字から黒字に転換する銘柄を選んでいると解説しました。その理由は、この時期の会社の業績は、一番、変化率が高いからです。株式投資はいい会社を選ぶものと違います。変化する会社を選ぶのです。勿論、赤字から黒字なら、買いの会社を選びますし、逆に黒字から赤字なら、売りの会社を選ぶ事になります。

今度はかたる銘柄のベンチャーリンクを見ましょう。それとSDホールディングを見てください。ベンチャーリンクは損益計算書もキャッシュフローも赤字から黒字に転換していますが、SDホールディングの損益計算書は黒字ですが、営業キャッシュフローは赤字続きですね。会計士の注記もあるようですが…、一見すると、同じように赤字から黒字に変化しているようですが、SDホールディングスの場合は違います。何らかの決算操作の可能性が否めません。ベンチャーリンクは無借金で自己資本比率は62%ですが、SDホールディングのほうは借金もあり、しかも自己資本比率が22%しかありません。健全化といわれる50%を遥かに下回っていますね。

r20061028a.gif
r20061028b.gif

PLの判断だけでなく、BSの中身をみる必要もありますし、特に営業キャッシュフローは重要です。この営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いたフリーキャッシュフローを増やす会社の株を買えば儲かる可能性はさらに高まります。四季報を見る場合も注意深く読む必要がありますね。今日は四季報の読みかたも勉強しました。


投稿者 kataru : 18:20 | コメント (0)

2006年10月21日

決算を迎えて…

メールを読んでいると、時々、悲しくなります。市場の動きなら兎も角…かたるの読者は長くお付き合いを頂いており、信頼感が互いに高いと思っているのですが…。株式投資は、日々、戦略を変えています。経営者の選択や外部環境により、それぞれ少しずつ株価判断が変わります。しかし基本的な戦略はそう大きく変わるものではありません。双日のように会社の業績は良いのですが、ファイナンスの選択により目標株価が大きく変わるのは仕方がないことです。

あとは業績の多少の読み違いはよくある事で、そんな事で一喜一憂するほうがおかしいのです。株価は既に下げているのに、業績悪化報道がされた場合、勿論、逆の場合もあります。USENは前者の例で、HOYAのようなケースは後者ですね。このような事例のケースは、あまり心配する必要はないのです。既に業績などを織り込んで株価は変化しているわけで、決算発表は過去の話です。この数字が、今後に影響を与えるかどうか? ここが重要なのですね。

r20061021a.gif

報道によれば、USENは公認会計士の監査が厳しく査定され減益にされたとか…。ギャオの黒字化が遅れていること。借金が多いことなどがマイナス要因なのでしょう。しかし決算発表の翌日にストップ安で寄り付くのですから驚きです。投げる人が居るのですね。おそらく、これで二番底を形成する可能性が高いですね。チャートを見ると、まだ底練り状態が続きそうなのですが…。新興株式の場合は、一番重要なのは売上水準の推移でしょう。

M&Aを繰り返す企業が多く、売上が伸びていれば、一時的な利益の落ち込みは仕方ないでしょう。この時期は変革期でもあり、経営者としては売上の追求に走り、利益への意識が弱いのは、ある程度の期間なら容認されます。ソフトバンクが代表的な例ですね。しかしいつまでも赤字では、次第に市場から相手にされなくなります。ソフトバンクは危険な賭けですよ。ある意味で…普通の方法ではありませんね。しかし、あのアイディア力と行動力は素晴らしいね。

これから多くの企業の決算数字が発表されますが、基本的に一時的な赤字や先行投資により赤字はある程度容認されるのです。何年も黒字化しない事業を抱えているとか…減益の改善策を講じてないとか…理由が明らかにされないとか…こういう決算や株価の下げは怖いのですが、昨年のベンチャーリンクのように、レインズなどとの契約切れによる売上高悪化など、理由がハッキリしていましたから、株価は100円台から上がってきたのです。さらに改善策が円滑に進んでいましたからね。

基本的に株価が下がってくると、多くの投資家は不安になりますが、投資している会社をよく自分で調べる事です。IRNETのTOPページには株式コードや社名のどちらかを入力すると、企業のホームページにリンクしています。最近は多くの企業がIR活動に力を入れていますから、自分の目で調べ、疑問に思えば会社に電話して聞いてみるもの良いでしょう。事前にちゃんと調べないと駄目ですよ。IR担当者に失礼ですからね。疑問点を整理し自分なりに勉強してから回答を求めるべきですね。

さて決算の見所は、利益を上げているセクターは更に伸びるのか? 企業活動は円滑に拡大しているか? 仮に赤字の部門があれば、改善策は講じているか? 大幅な赤字でも一時的な処理などの赤字は恐くありません。株式の減損会計処理など…楽天のTBS株の処理も同様です。むしろ減損処理したほうがスッキリしますね。先行投資の赤字は容認されるのです。自分なりに投資している会社の業績見通しを考えてみると良いでしょうね。

今日の株式教室の内容は薄いけれど、「利益の質」の問題は重要です。一時的な利益なら、いくら儲かっていても、評価の度合いが低いのです。業績と株価の推移も重要です。既にかなり下げているなら、基本的に業績悪を株価は織り込んでおり、材料発表で悪材料出尽くしになり、株価は上がるものです。

投稿者 kataru : 14:03 | コメント (0)

2006年10月14日

雁行理論

どの銘柄を選ぶのか?

多くの人が悩む事ですね。相場には流れがあり、その流れの主人公を探す事が重要です。この時代変化をどう見るか? この見方により選択が大きく変わるのです。どの業種にも業績のいい会社と悪い会社があります。株価が上がる為には業績が向上しなくてはなりませんが、ただ業績が良いだけでは株価は上がりません。その背景に株価を上げようとする「筋の手」が入らなくてはなりません。「筋の手」と言うのは、例えば外資系のファンド、投資信託や仕手集団とか…大きな買い勢力のことですね。しかし、その仕掛けも不発に終る事があります。

お金さえあれば、誰でも株を上げる事は簡単にできます。無限のお金で、市場に出てくる株の売り物を買えば、需給のバランスで当然、株価は上がりますからね。しかし儲ける為には自分が売らなくてはならない。自分が株を買って株価が高くなっても、皆が更に上の株価を買うような合理的な根拠があれば、上値を買いに来る投資家が存在し、自分は高値で売り抜けられるのです。つまり株式投資は「現在の株価」と「将来の株価」との差が大きな銘柄を探すゲームなのですね。

その背景には経済的なバランス感覚が常に働いています。一つは資金コスト。まぁ、金利ですね。もう一つは投資対象の収益還元とのバランスです。PERと言う尺度でもいいですね。(配当性向も重要ですね。)金利とPERのバランスを見るのがイールド・スプレッドと言う指標ですね。この話は昔、何度かしていますから省きます。このような観点で相場は形成されているのです。経済的な合理性を有し、人気になる銘柄が、相場の流れとなって、株価が動いているのです。

景気波動の波もあります。薄型テレビ、車、工作機械、建設機械、住宅、道路、鉄道、原子力発電、火力発電、携帯電話、インターネット、情報通信、ITS…世の中が便利になるとどんどん技術も進化し、家電製品も変わっていきますし、消費のパターンも変わります。時代の流れに乗る会社を探し、その会社の業績が期待通りの成長を続ける。そんな銘柄が相場の主役なのでしょう。

わが国のPERが米国などに比べ高いのは道理なのです。単純に米国より高いPERで日本株の割高説もありますが、ベルリンの壁崩壊から、世界では市場主義の流れになり、BRICsと言う新興市場が生まれました。加工貿易国の日本が潤うのは当然の帰結です。車を輸出し、薄型テレビを輸出し、新興市場が求めるものを供給できますからね。中国(BRICs)のインフラ整備の為にキャタピラーやコマツが上がるのは道理だったのですね。貧しい国のGDPが上がり、新しい購買力が生まれ耐久消費財は売れます。

r20061014b.gifこのような景気の波に技術革新の波がぶつかっています。トヨタの株が上がるのは道理ですし、インターネット関連株がもてはやされるのも当たり前です。一番長い技術革新の波の雄がソフトバンクで、新しい市場経済の誕生の波の雄がトヨタなのでしょう。

ここで株を買う購買力セクターの考え方が需要です。多くのファンドの運用決定権を持つ年代は50代です。この年代はITに疎い世代です。故に自信が付き始めた今の投資環境の主役はトヨタでもあるのでしょう。しかし一番大きな景気波動の波は技術革新です。


産業革命時代に蒸気機関車の鉄道、やがてテレビが生まれ、今はインターネット。コンピュータとあらゆる技術が融合し、文明が開化する情報通信の時代なのです。ソフトバンクが人気株になるのはある意味で道理なのですね。ただ、無限に株価が上がるわけではありません。上げたり下げたり、業績に見合う水準を探すのです。現在の市場にはトヨタの流れとソフトバンクの流れがあります。

r20061014c.jpgそろそろソフトバンクの調整波動も終盤を迎えたようです。新興産業の雄であるソフトバンクが上がれば、新安値を更新する楽天の株価も上がるのです。同じ仲間ですからね。渡り鳥の群れと一緒です。リーダーの先頭を羽ばたくソフトバンクが調整波動を終えて上がり始めているのに、二番手の楽天が南に降らない筈がない。楽天だけが北に羽ばたくことはないですね。それが世の中の摂理です。だからこそリーダーの存在は重要です。

誰にも株価の動きは分かりません。だからこそ、業績の推移とトレンドラインは重要です。テクニカル分析がようやく必要になるのです。時代の感覚があり、業績を見て、トレンドラインを調べるのが相場を考える道筋なのです。さてチャートを見てみましょう。トレンドライン(傾向線)の引き方を一つ掲げましょう。下降波動の時には高値と高値を結ぶのが普通ですが、たくさんの山がありますね。一番重要なのは出来高です。

r20061014a.gif

ご覧のように、6月2日出来高が特出しており、その後の高値が2765円です。この時にメリルリンチ証券がレーティングを引き下げ株価は急落しました。この地点と次の山のリーマンの地点を結んだラインAのラインを超えた株価の位置から、相場の流れが変わります。上昇波動を確認する為には、2765円を抜く必要がありますね。既にクレディとリーマンを抜き、上昇波動確認と言う見方もあるでしょうが…この判断は難しい。Bの傾向線もある程度、意味を持ちますが、やはり出来高を伴なった視点の方が重要ですね。このようにチャートをみて、ラインを幾つか引くのです。これがテクニカル分析の一つの見方ですね。

今日の勉強は雁行理論です。リーダーが相場の流れを決めるのです。そのリーダーの行方が、だから大切で、他の新興株などの動きを論じても意味がないから、かたるは最近、「今日の市況」でソフトバンクしか取り上げなかったのです。一方の雄である「トヨタ」を取り上げても良かったけれど、僕らは貧乏人だからね。年率10%程度の世界の話をしても面白くもない。それに景気循環は、やはり一番長いコンドラチェフの波が、相場に大きな影響を与えますからね。もう一つは、傾向線の書き方と見方を勉強したかな? 雁行理論は自然の摂理なので正しいと信じています。さて、どうなるか? 

投稿者 kataru : 16:34 | コメント (0)