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財務会計(定額法と定率法)(2006年03月25日)

今晩は…先ほどまで大相撲を見ていました。把溜都(バルト)と言う力士が、全勝の十両優勝をすれば、43年ぶりとなる快挙になるのだそうです。エストニア出身だそうです。エストニアはフィンランドの下で、ロシアの左に位置している。バルト海に面した人口135万人の小さな国です。197センチの170キロだそうで、大型力士ですね。明日は初優勝を狙う白鴎と角番大関、魁皇の取り組み、そうして朝青龍と横綱期待の栃東の対決があります。面白そうですね。どの世界もそうでしょうが、精神力が勝負なのです。技量が備わっているのは当たり前、その上で一番大切なのは、精神力ですね。株式相場で儲けられるか損をするかは精神力の違いなのです。

さて、今の新世代の市場参加者は、残念ながら基礎的な知識が不足しているようです。今日はキャッシュフローと会計利益について勉強してみましょう。ある企業が機械を買って、設備投資をしたとします。その機械の購入費が500万円だとしましょう。その会社は毎年300万円の収入があります。この会社が減価償却費の計上の仕方は、定額法と定率法のどちらか一方を選択できます。わが国の会計法は分かりにくいですね。選択の自由があるのです。前回の在庫管理の選択と同じですね。この機械の償却期間は5年だとしましょうか…。概ね、廃棄機械にも価値があり、残存価格を1割と見るようです。(今度、変わるのかもしれませんが…)

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上の図が定率法を採用した場合、導入初期は減価償却率が重く利益が出ませんが、後半は減価償却率が軽くなり、利益が多く出てきますね。前回、学んだ在庫管理の方法に似ています。僕らは単に決算書だけを見て、一株利益を基準に株価を考えていますが、その背後には、色んな会計法の選択によって利益操作がしやすくなっているのです。更に利益の質も分かりますね。

バブル崩壊直後に、多額の特別損失をカバーする為に、本社が持っている土地を、子会社に時価で売り特別利益を出し、相殺する方法を採用した会社などが多くありました。つまり、含み利益を実現利益に変えたのですね。会社の本当の利益を見るには、会社の歴史を知ることも大切なのです。実際に有価証券報告書に記載されている土地などの簿価と時価を比べたり…しかし、残念ながら本当に調べるのは大変な作業ですね。損失を子会社などに分離して、海外に飛ばしている企業があるかもしれません。株を買うことは様々なリスクがあることを、知らなくてはなりません。

僕らは会計士ではないし、M&Aを仕掛けるわけでもありません。だから、時間をかけて調べることはせずに、とりあえず、公認会計士が作った有価証券報告書を信じ、せめて、このような減価償却費の定額法を採用しているとか、定率法を採用しているとか、必ず注記に書いてあるので、それを元に、ある程度儲かっている会社かどうか、判断することは出来ます。人間、誰しも税金を多く払いたくないし、内部留保を残したいので、多くの場合、儲かっていれば定率法を採用するはずです。

最近は企業買収も多く、のれん代の償却を一括計上する会社もありますし、分割して計上する会社もあります。東芝や板ガラスなどはいい例でしょう。このような買収の費用計上も、将来利益に大きな影響を与えます。だから一概に、一株利益だけを見て、株価を判断できない場合がありますので、企業の歴史を考え株価を判断することも重要になります。

すこし初心者の多いネット・トレイダーの人には難しいでしょうか? かたるが言いたいのは安易に数字を信じない。自分で考えて、その企業価値を推察しろと言うことです。所詮、信用している有価証券報告書も偽造されているリスクもあるのです。ライブドアのように…。だからリスク分散の観点から考え、全財産を一銘柄に投じるのは非常に危険です。運用成績は落ちるかもしれませんが、ある程度、分散投資することが求められるのですね。いくら好きな会社でも全力投球で、現物も信用もライブドアを買うという行為は、危険すぎますね。

必ず、ポートフォリオを組む場合、リスクヘッジを考えるべきなのです。倒産しても大丈夫なのか? 運用額が大きくなればなるほど、リスク分散は必要になり、場合によれば、株式以外の金融資産の土地や建物、資源、債券…と、色んな組み合わせが求められるわけです。忘れがちなのが年齢です。投資家の年齢により、挽回できる世代なのか? 既に働くことの出来ない年寄りが、生活資金を株式投資するリスクは、若者より、はるかに大きいのですね。儲けることより、先ずは生活できることが優先されます。でも多くの若者は損をしても、また稼げば良いのです。若いうちに、思いっきり失敗をすれば良いと、かたるは考えています。失敗は貴重な財産ですね。