思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« グローバル企業 | 最新の記事 | 人生いろいろ »

貿易統計(2014年12月23日)

今日は一般的に言われている解説が正しいのか? 
かたるは自分で調べないとメディアの解説を信じないところがあります。長く株屋をやっていると…グラフの採用期間や恣意的な解説に騙されることがよくあるからですね。その為に、今日は時間をかけて財務省の貿易統計を調べています。皆さんも、関心があるなら調べると良いですね。しかしHSコードと言う馴染みのない統計品目番号を調べる必要もあり、時間が掛かりました。でもようやく、レポートを書ける水準にデータが集まったわけです。

経済産業省のレポートによれば、貿易赤字の主なものは鉱物性燃料の輸入が、原発停止で増えたのが主な要因だと言っています。多くの経済アナリストも、その解説ですね。でもカタルは疑り深いのか…、何でも自分で確かめないと、気が済まないのでしょう。確かめる理由の切っ掛けが、最近の原油価格の下落です。現状の市場の動きは、原油価格の急落を切っ掛けにして、金融市場の混乱予測からNY市場を始め日本株も大きく下がりましたが…カタルにはこの動きが理解できなかったのです。ロシアの貿易もシェールガス開発の金融デリバティブ商品も世界の金融界に大きな影響を与えるとは思えないからですね。確かにロシアが追い込まれると…世界経済に多少は影響を与えるでしょう。でもロシアの外貨準備高をみても直ぐに、どうのこうの…という問題でもないし、いきなり戦争勃発もないですからね。何故、これほど市場が動揺するのか、不思議だったのですね。この辺りの見通しが甘く、追証懸念から持ち高の整理に追い込まれたわけです。

しかし…原油安は、日本経済にとって願ってもないプラス要因ですね。世界の中で最も有利に働くのは、資源輸入国の日本ですよ。それに中国かな…。米国もマイナスではないですね。シェールガス効果と言う米国独自のプラス要因は消えますが…、米国の経済全体にとって、原材料費が安くなることは、やはり大きなプラスです。このような化石燃料の多くは新興国で産出されますから、これら産出国にとってはマイナスです。とくにロシア、イラン、イラクなどの中東諸国やベネズエラなど…。でも日本株は買われることはあっても売られるのはおかしいですね。ましてや、金曜日の出光や昭和シェルの石油関連株が大きく再編期待で上がる現象も、おかしな現象です。一見すると効率化が進み利益率が挙がるような錯覚を覚えますが…再編は過剰体制の打破で、村論理の修正ですね。世界で起っている時代の流れから見ても、カタルはこの動きは奇妙な現象に見えます。だから、1日だけではなく、仮に、もっと相場が過熱すれば、空売りの対象でしょう。

さて本題に戻ります。震災前の我が国の原油の輸入代金は2010年9兆4058億円でした。それが昨年は14兆2448億円に増えます。約4兆8389億円が増加しました。更に液化天然ガスの輸入も大きく増えています。2010年3兆4718億円だったものが2013年は7兆3371億円と…約3兆5871億円と倍増しましたね。合計で8兆4260億円ほど増えたのです。昨年の貿易赤字は11兆4683億円ですから、一般的な解説はやはり正しいのでしょう。原発停止により8兆円程度の輸入が増えたのです。ここに来て鉱物資源は原油だけでなく、銅も鉄鉱石も全て値下がりしています。昨年の原油の輸入代金は14兆円規模ですから、半値だと単純に計算すると…7兆円も日本経済にとってプラスになりますね。消費税の引き上げが10兆円とすれば…相殺されますね。更に原発は再稼働に向かいます。

単純にざっくり…と、この輸入額を考えただけで…、2015年の相場はバラ色評価に見えてきます。プライマリーバランスを確立させ、インフレ率2%程度を達成すれば、財政赤字も自然に減って行きます。今日は、郵政の民営化で株式上場と報道されていましたが、このように、政府資産を民間資産に置き換えて行けばいいのです。やはり原油安やロシアの動向より、もっとも危険を孕んでいるのは、金融規制(流動性の欠如)と中国の粛清の動きですね。この二つは相変わらず課題です。

もう一つ、重要なニュースは、日産自動車の国内生産回帰だけでなく、本田の池自工会会長も同様の発言をしています。ただ日産のゴーン氏の基本は、あくまでも現地生産であり、余剰分が発生したら…日本で生産を増やし輸出するというスタイルが主流のようですね。多くの人は銘柄との関連付けが出来ないでしょうが…カタルはこの動きの中でも、注目している銘柄があります。ただ今の基本は、やはり信用創造復権から日本経済の立て直しなのですね。今日の解説は短いですが…、なかなか見所がある内容だと思っています。皆さんも、一度、貿易統計などを、自分で調べられたら如何ですか? HSコードは、原油が「30301」、液化天然ガスは「3050103」です。今日は貿易収支の推移を見て…イメージを掴めば、それで十分でしょう。それでは、また明日。

関心のある方は、財務省の貿易統計、検索ページは此方です。

c20141223a.gif