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コラム

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無知の恐怖(2005年01月09日)

c20050109a.jpg…全ては、あの一言から始まった。

「良いぜ、かたる。今までで一番よかった場所は○○だよ。バンフの上にある山のホテルだな。」

「これから冬だよ。寒いのは嫌だなぁ~。正月に何処か行くとしたら、何処が良いの?」

「やはり、セント・トーマスかカンクーンかな?」

「じゃ、任せるよ。お前に…」

「任せておけよ。全部、手配してやるよ。領事館には知り合いがいるし、リムジンで空港まで迎えをやって、案内をつけるよ。」

長らくお休みを頂きました。どうもありがとう。何しろ、ようやく借金返しの終わった、かたる君は奥さんの長年続いた借金生活の苦労に報いる為にも、仕事を休める正月に夫婦二人での旅行を計画したのです。その切っ掛けは、10月頃、財務官僚の友達と飲んだ、たった一言の会話から始まった旅行でした。

しかし、全ては、出だしから狂っていました。
「どうも正規の料金は高いらしいよ。ファーストクラスだと一人150万円だって、ビジネスだと50万くらいでいけるよ。どうする?」
「まぁ、総額で300万円ぐらいを予定しているから、ビジネスにするか…」
「ホテルは1200ドルと1500ドルだって…どっち道なら、スゥートにするか…」
「えっ?結構高いんだね。1500ドルって、16万円ぐらいだよね。まぁ、良いか」
「じゃ、本人が予約しないと駄目らしいから、HISのYさんに、リッツの方はUさんに電話してよ」
「あぁ、そう。分かった。」

なんだか…最初の話とずいぶん違ってきたな。。。当初の手配は、全部、財務官僚のKが手配するはずだったのに…これじゃ…大丈夫かな?心の中では、キャリア官僚の海外視察旅行バージョンを経験するつもりだったのに、結局、自分で全部手配する事になったのです。
先ず、リッツ・カールトンのセント・トーマスではJCBのカードが使えません。1500ドルの5泊と言う事は100万円近いお金が必要でカードを使い慣れてない僕には与信能力がないのです。だから全額を前払いし、海外の指定口座に送金する事から始まります。しかも2ヶ月前から取り消しが出来なくなり、仮に2週間前にキャンセルすると、全額没収されると言われたのです。

今度は飛行機の手配です。結局、安売りの旅行社のHISに航空券の手配を頼みました。安売りらしく色んな制限がありアトランタ経由でセント・トーマスに向かいます。ビジネスクラスの航空運賃は一人40万円程度でした。ところが予約したデルタが、11月に倒産騒ぎに巻き込まれるのです。心配した僕はコンチネンタル航空のビジネスクラスにも予約を入れました。何しろ既に100万円もホテルに送金しているのです。こちらは一人46万円でNY経由です。しかし正月と言う事もあり、なかなか思い通りの日程が取れませんでした。11月の中旬にデルタへの金融支援が決まり、どうやら大丈夫そうなので、当初の予定通りにしました。そうすると、また何もしない友達のKから電話がありました。

「どう?手配は終わった?」
「うん、でも俺、英語が話せないよ。大丈夫かな?ホテルには日本語スタッフは居ないんだって…」
「大丈夫だよ。身振り手振りで通じるから…、あぁ、そうだ、アトランタの領事館に電話をしたら知り合いが、既に居なかったんだ。ごめん、案内は出来ないかな?でもアトランタはコカ・コーラとCNNぐらいのものだから…」
「そうか…案内がなしか仕方ないね。正月だし。。。」
「あと、何かすることはある?」
「ううん。何とかなるかな…」

心の中では…お前が良いところがあるといって、全て準備をするからと言うから、その気になったのに…これじゃ、英語を喋れないで、どうなるんだよ。と叫びたい気分だったのです。こんな事なら日本語が喋れるハワイでも良かったのに…

出発当日の31日、久しぶりの成田に行き、蓄えのない僕は成人してない子供が居るので旅行保険に加入しました。2人で11日間の保険料は18000円ほど…デルタ航空の機内は快適で初体験のビジネスクラスの座席は想像より広く良い感じです。しかし、ここで最初の恐怖がやってきます。スチュワーデスが全部、外人なのです。まぁ、当たり前なのですが、英語が話せない僕は…あぁ、やってきました。何か順番に聞いています。

何か飲み物はいりませんか?ぐらい、幾ら馬鹿なかたる君でも分かりますが、どうも食事のメニューをあれこれ聞いているようです。配られたメニューには日本語が載っていますから、これを示せば良いや…と思っていましたが、スチュワーデスは老眼らしく見えないらしいのです。これには困った。しばらくすると、日本語のできるスチュワーデスがやってきて、チキンにするか魚にするかメインディッシュを先に聞いていることが分かりました。なるほど、前菜の種類より前にメインを聞くものなのか。。。

こんな調子で、ようやくアトランタに着き、さてホテルです。ところが、又その前にトラブルです。荷物が何処にあるやら…と言うのも成田と違い、アトランタでは一旦荷物を受け取り、再び、預け、又受け取る。二重の作業があるのです。到着ターミナルはEで入国審査を済ませ、荷物を受け取り、税関検査を受けた後に、再び荷物を預け、Tと言う所でデルタに預けた荷物を受け取るのです。ところが、最初に思った場所に行っても、航空便の表示がないのです。荷物もないし…トホホ。。。

仕方なしに、結局、又、元も場所に戻ろうとしたら、なんと今度はセキリティー上、来た道から戻れません。警備員はTと言う荷物の受取所に行けば貰えるよと、英語で言っている様なのですが…仕方ない、また辞書を見ながらやり取りをするか…とデルタのカウンターに向かう覚悟を決めて、何気なく、荷物のほうを見たら、ありました、ありました。僕らのスーツケースがクルクル回っているじゃ、ありませんか。地獄に仏とは、こんな事を言うのでしょう。一所懸命に、あれこれ、英語の会話を考えていた最中の事です。

あぁ、たった一日の事なのに、これだけ書いたら、ずいぶん長くなりましたね。旅の続き話は又の機会にしましょうか…おいおいと。。。遅れましたが、新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくね。株も英語の喋れない旅と同じですね。たいした事のない出来事なのですが、無知は色んな恐怖を生むようです。きっと株を知らない人は、たいした事のない調整でふるいを掛けられるのでしょう。昨日、帰国したのですが、新聞を読んでいたら…「やはりね。」と言う感じですね。しかし一旦、動き出した流れはなかなか変わらないものです。