今日の市況(2010年)(2010年08月12日)
中国の7月の購買部担当者景気指数(PMI)が51.2と低下し、前日発表した7月の輸入額の伸びが鈍化したこともあり、中国景気の減速で世界の景気回復の勢いが弱まるとの警戒感につながったそうです。朝方発表された6月の米貿易収支では、貿易赤字が市場予想以上に拡大。4~6月期の実質国内総生産(GDP)が大幅に下方修正されるとの予想が多く聞かれ、足もとの米景気の弱さが意識され株が下がったと言います。でもこの解説は本当かな?

米商務省が発表した6月の米貿易赤字は事前予想427億ドルを上回り、499億ドルとなり前月の改定値から19%増加しました。5月の米貿易赤字は419億8千万ドルと速報値の422億7000万ドルから下方修正されました。対中赤字は17%増額の261億5千万ドル、対メキシコが62億1千万ドル、対EUは26%増の77億6千万ドルで、日本は45%増加して52億5千万ドルだったそうです。
米国株の影響か…。84円台の為替の影響か分かりませんが、日本株は朝から売り気配スタートになり、軒並み新安値銘柄が続出しました。今日は1173銘柄の値下がりと3日連続の1000銘柄以上の値下がりでした。新安値銘柄数は昨日の250に続き、今日は436となり、最近では一番多いですね。菅首相は円高懸念発言をしていますが、裏方の玉木財務官は日銀の中曽宏理事と会談したとか…。本日の17:30に記者会見だそうです。まぁ、期待はしていませんが、この報道を受け為替が円安にぶれると急速に株価は下げ渋り反発し始めました。まぁ日本の当事者は、動かざるを美徳としているようですから期待はしていません。
冒頭の解説は日経系列のものですが不思議ですね。PMIで見ると解説は納得できますが、先行指数の消費者信頼感指数が発表されており、第2四半期は109と第1四半期の108を上回り、5四半期連続の上昇だそうです。都市部は低下し農村部は上昇しているそうです。何故、中国経済が世界の株価動向に影響するかといえば、昨日話したように、先進国と新興国の平準化が、先進国でデフレを引き起こしているわけです。中国などの成長力が落ちなければ、このデフレ圧力は解消されます。日本では内外価格差がニトリ現象やユニクロ化で埋まりましたね。ユニクロが中国に出店したということは、内外価格差の是正が終了に近付いた目安になります。更にBMWの高級車が前年同期比で98%増と売れまくっているということは、日本のデフレ圧力が低下することを意味しています。
ここで…私が二番底に陥らないんじゃないか?…と考えているもう一つの理由は、日本の自動車産業のタイなどへの進出ですね。自動車産業は金額も、裾野も大きな産業です。商船三井は自動車運搬船の係留をやめるそうですね。インドネシアの自動車販売は好調ですよ。ダイハツの決算数字を見れば、容易に推測できますね。全てが二番底回避の兆候を示しています。そうしてここで半導体価格にも注目しているわけです。そろそろクリスマス需要です。ゴールドマン・サックスはエルピーダ株を借りて、空売りを仕掛けていたようです。そうしていたら、先日、GSはレーティングを引き下げましたね。まぁ利益相反になるか、ならないかは金融庁の判断ですが…。ここに来てDRAM価格は8月5日から強くなっています。僕はこれまで、あまり半導体に注視してなかったために、季節性の関係など良くわかりません。だから銘柄として掲げるとすれば、例えば昨日の鬼怒川ゴムなどは仕手化して人気株に育つ芽がありますね。グラスランや窓枠パーテション、フードシールと、車には様々なゴムが使われ世界戦略トップの日産系列ですね。

しかし相反する動きもあります。本日のトヨタは新安値なのです。株価と景気動向の見方が決着するのは、秋口にならないと分かりませんね。今は非常に難しいのです。しかし言えることは、確実に株価は二番底を織り込んでいるということです。この二番底とは、来年はかなり落ち込むという心配ですね。日本でもエコカー減税が廃止され、ドイツは3割減が続きます。これを株式市場は心配しているわけですね。今は増額修正が相次いでいますが、急速に業績は萎むというシナリオが、今の株式市場のメインです。だから中国経済の動向に世界の関心は向かっているのです。でもタイやベトナム、インドネシアと好調ですよ。まだアジアの一人あたりのGDPは低いですが、先進国の3割の景気減速を、新興国の需要でリカバリーできるかどうかが、今の相場の焦点なのでしょう。

投稿者 kataru : 2010年08月12日 18:18