今日の市況(2007年)(2007年08月14日)
かたる:一時の動揺から落ち着きを取り戻した世界の市場は、今後どういう展開を歩むのでしょう? 基本的に驚いたことがあるのですが、今日の金融新聞では投資信託がロングアンドショート戦略を用いて運用しているということです。私はヘッジファンドがやっているものと思いましたが、投資信託もやっているのですね。今まででは考えられない連鎖が市場にあるのでしょうね。
誰かが上手く行くと、それを真似て同じポジションの運用額が多いということですね。今回の動きをみると…つまりボラティラティーが高くなっているわけです。日本の金融機関も運用能力がないために、お金をヘッジファンドなどに運用委託するわけです。効率化が争われ、常に競争が起こるのですが、多くの動きが似通っている為に、それほど危機的な状況でない問題も連鎖の輪が広がり大きくなっているのですね。
私の予想は、模様眺めが続くというものです。やはり日銀の金融政策に、世界の関心が集まっているのでしょう。日銀は正常化への過程を急ぐのか?
多くの市場関係者も、政策担当者も景気回復したと思っているようですが、私の認識は多少違います。まだ退院はしたけれど、自宅療養のようなイメージですね。理由は大手銀行が税金を払ってないこと。りそなは、依然、国に借金を抱えています。日銀はまだ金融危機の時に買い入れた株式を売っていません。つまり飛行機で言えば二つのエンジンのうち一つのエンジンで飛んでいるようなもの。景気の回復は弱いのでしょう。
しかしBRICs関連は、この世の春を謳歌しています。何れも過去最高利益を更新しています。しかし、なかなか人件費の上昇までいっていませんからね。労働問題をどう考えるのか? 日本は結論を出していません。移民を受け入れるべきではないかと思いますが…難しい問題もあり議論が進んでいませんね。力強い景気回復に至らないのは、金融が弱いからでしょう。この原因は政策だろうと思いますが…
昨日のFTの社説にブルドックソースのことが書いてあったそうです。あの最高裁の判決がある以上、日本はどう対処するのでしょうね。やはり私には分かりません。新日鉄の三村さんの論理は、もっともらしく聞こえます。会社は従業員のものであり、技術を奪われたら大変だというものでしょう。ミタルが仮に新日鉄を統合すると研究開発費が減らされるというものです。
確かに75%もの従業員の削減をした話を読めば、すごいリストラだな?と感じましたが、新日鉄は子会社への出向がほとんどですからね。あれほどのリストラをしながら、子会社の多くが傘下に残っています。双日とは比較になりませんね。今回は利益が上がっていますが、何十年も低い一株利益で5円程度の配当しかしなかった時代を考えると、やはり納得できませんね。無駄が多すぎますよ。それに世界トップのメーカーだといっても、シェアを見れば、数%と僅かなものです。トヨタ、GMなど自動車メーカーのような統廃合が必要なんじゃないでしょうか? やはりミタルの戦略の方が正しいように感じます。
通産省の北畑事務次官は買収ファンドを嫌っていますね。しかしファンドの存在があるから、効率化を追求され合理化されるのではないでしょうか? ブルドックソースのような世界では、日本はますます世界の中から置いていかれるような気がします。日本だけで争っているわけじゃないですからね。上場企業はグローバル企業なのです。
エルピーダが力晶と組んで台湾に工場を作る時代ですね。税法もグローバルになります。日本だけが鎖国政策のような選択をして生き残れるのでしょうかね。どんどん国民の生産性が落ち、GDPの成長率は世界のレベルから、どんどんおいていかれる。やはり私は三村さんの考え方はおかしいと思います。技術進歩は必要で開発費も必要ですが、先ずは利益であり成長でしょう。株主をあまりに軽視しすぎるイメージを持っています。
日本の「ものづくり」は素晴らしいかもしれませんが、このような思想があり金融技術を軽視している風潮があるから、何時までも三流国なんじゃないのでしょうか? 月刊「文藝春秋」を読んで、色々考えさせられましたね。日本の鉄鋼界など1社になれば良いと思っています。調和、村論理、秩序を保つことが美徳か…やはり私の考え方は少し異常なのかな?
日本を代表する企業が、小さな世界で安住の道を歩むなんて…極端な言いかたをすれば、日本にはなくなっても良い産業なのかな? とも考えます。「鉄は国家なり」か…、もっと合理化をすべきですよね。新日鉄に不動産部門は要らないし、遊園地など必要ないよね。私の論理からすれば、新日鉄はカラ売り銘柄になるのですが…。株式の持合を正当化し…提携など株式を持ち合わなくては出来ますよ。
相場観はあまり変りませんから、今日は日本の政策の愚痴を述べてみました。勿論、色んな考えがあって良いのです。僕の考えが正しいとは思っても居ないし…僕はこう考えているから、相場が曲がっているのでしょう。現実の政策は違いますからね。ここが問題。果たして時代は変化するのかどうか?
さて既に大型株の相場は一服していますね。流動性の問題が指摘され中央銀行が市場に資金供給をしているわけですから…やはり相場の流れは変るのでしょう。この見方は当たるかな?

投稿者 kataru : 2007年08月14日 21:15