世界の日本化現象(2012年07月14日)
何故、かたるが日本株が上昇する時期に来たかな?…と考えているかと言えば、日本化現象が世界に広がっているためですね。この日本化現象とは何か?
基本的に金融デリバティブの拡大や金融緩和などにより、資産価格が急上昇し、その価格が仮需中心の為に高値を維持できなくなり下落したために、金融機関に多額の損失が生まれ、その損失を補うために自己資本を増強しています。自己基本比率規制(BIS)などがあるから、金融機関は資産拡大が出来ない為に貸し出しが制限され、景気が悪化しています。これを補うために中央銀行は金融緩和処置を講じますが、それ以上に金融機能が低下している現象が日本化現象です。つまりデフレ状態になります。(清貧思想)
経済の基本は金融機能ですね。家を買うために現金を用意できる人は稀な存在です。多くの人が金融の仕組みを利用して借金をして家を買います。車もローンを利用しますね。要するに仮需によって需要は拡大され景気が維持されています。ところが日本はバブル崩壊からの資産デフレで…米国はサブプライムローン破綻からの金融デリバティブの崩壊により住宅価格が下落し、欧州も金融危機の損失により世界中の金融機関が多額の損失を抱え、金融規制強化の為に自己資本の増強を迫られています。
まだ大きな問題になっていませんが、新興国の代表格の中国も住宅価格の下落で金融機関は多額の損失を抱えていることでしょう。ただ中国はローンを利用する習慣があまりなく、頭金の割合が多いために資産デフレのマイナス効果は少ないと推察されます。まぁ、兎も角、いくら中央銀行が流動性を供給しても…つまりお金をジャンジャン刷っても、需要に繋がらない現象を「流動性の罠」と言います。資産デフレが続いているからです。日本の事例を見れば明らかで、毎年公示価格は下落しています。
欧米の金融機関が不良債権を抱え、格付けが引き下げられています。相対論で日本の銀行は浮上してきましたね。日本の銀行は2003年にバブルの処理を終えて綺麗になりました。まだバブルの処理中だったため、金融デリバティブの世界に入る余裕がなく大きな損失を免れました。ところが、あのJPモルガンは、またも多額の損失を抱えてしまいましたね。世界中でゆとりのある銀行は日本の銀行です。三菱UFJや三井住友、みずほは何れも海外戦略を模索する段階になっています。バーゼル3の自己資本比率に目途が付いたのです。
ようやく日本化現象を後追いし始めた欧米は、これからまだ数年は片肺飛行です。GSEの問題が解決されるのは早くて来年後半でしょう。通常は再来年辺りの筈。ここで困った欧米は中央銀行の量的緩和に頼っています。FRBからECBまでベースマネーを2倍、3倍に増やし始めています。しかしあふれ出たマネーは行き場を失いドイツ、米国、日本の国債に向かっていますが、更に溢れているお金は何処に向かうのでしょう? 早めに日本化現象から立ち上がる日本は、既に金融機関の問題は解決済みです。世界の中で一番健全ですね。日本の土地は収益還元法でも、充分に利回り採算が合う水準になっています。
震災の影響から多額の復興予算が組まれ、日本の内需はそんなに弱くはありません。団塊の世代はぞくぞく退職をし、シニア景気が期待できますね。ある意味で介護と医療に重点を置く経済政策も頷ける環境です。中国もそうですが、急速に高齢化社会に向かいますから、日本が先に経験を積むわけですね。全ての点で、日本が世界の中で先陣を切っていろんな経験をしています。空洞化もそうですね。ただ一気に状況が変わるわけではなく、ゆっくりと時間は流れると思われます。失われた時代の後遺症がある為でしょう。
もしこの仮説が正しいとすれば、日本株は、世界中の株は弱くても比較的強く動くのでしょう。カタルの仮説は欧米の日本化現象により、世界中の中央銀行が量的緩和(金融緩和)を実施しますから、溢れるマネーが比較論から既に立ち直っている日本株に流れると言うものです。その結果、欧米の株が下げても、日本の株は比較的、強い動きになるのでしょう。お金は常に稼げるところに集まる傾向があります。場合によれば、マイナス金利もあり得るかもしれませんが、既に限界点は近いのです。その時にお金は何処に向かいのでしょう?
まだ社会基盤整備を終えていない新興国を多く抱えるアジア、この消費地に地理的に近い先進国の日本は有利ですね。いろんな点で日本は有利なのですね。だから日本株は何れ独歩高の道を歩むかもしれません。経済の要は金融機能で銀行株は真っ先に買われる存在なのでしょう。