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本物の過剰流動性相場なのか?(2012年02月25日)
この僅かに期間に色んなことがありましたね。
もともと欧州危機などは深刻化するとは思ってもいませんでしたが、日経新聞やNHKは騒いでいました。ギリシャは仕方ありませんがイタリアまで波及する筈はないと、貿易収支や国債償還予定などを掲げ解説しました。欧州危機の発端のギリシャはGDP規模が小さく影響は少ないとの読みでした。しかし連鎖は怖いものですね。小さな噂めいた流言が世界の金融市場を揺るがし、日経新聞やNHKの報道を歪めるのです。まぁ昭和初期の朝日新聞は戦争を煽っていたそうですから、メディアと言うのは良識のない情報機関なのでしょう。

大きな突込み、の後に訪れた過剰流動性相場の走りは本物の力強い金融相場に発展するか?流石に20年以上も騙され続けると…警戒感が強いですね。11月末にこの欧州危機を切っ掛けにして欧州の銀行への経営不安が広がり、ドル資金の調達が困難になっていきました。事実でない流言飛語が溢れ信用力が試されるのですね。丁度、追証と同じ仕組みです。売らなければ上がる株と分かっていても自分に力がなければ売らざるえません。悔しい思いをしてなくなく制度で売る羽目になります。この淘汰で市場は洗練されます。微妙な揺れが存在するのが市場ですね。理屈ではないこの歪みと言うか…自然淘汰の壁が相場の壁を厚くしています。
この世界で初めての中央銀行による協調姿勢をどう評価するかで今回の切符が手に入った人と乗り遅れた人の差が生まれました。その後、ドラギ総裁からのクリスマスプレゼントが、なんと50兆円規模です。FRBのバーナンキは時間をかけて100兆円増やしました。ドラギ総裁は一挙に供給しましたね。この資金の一部が欧州の国債に向かい、さらに翌日物に積み上がりました。過剰流動性の準備預金ですね。この時期がクリスマスの時期です。
そうして驚くのが日銀でしたね。僅かに10兆円でしたがタイミングが抜群でしたね。日銀は資産デフレ対策を一昨年の10月に実施し、大きく舵を切りましたが長引く蓄積の為に明確なメッセージとなって伝わりませんでしたね。国会で白川総裁は1%目標の曖昧さを責められていました。その1%を目標化した行動が10兆円の供給で世界の投資家は日銀の本気度を感じたのでしょう。為替は反転し円安傾向になってきました。
そうして先頃、今年、期待している中国経済の引き締めからの方向転換である、第二段の預金準備率の引き下げです。年末に引き継ぐものです。間もなく2月末で第二段のECBによる資金導入が予定されています。ジャブジャブに供給される貨幣を見て需給バランスは崩れますね。当たり前です。原油価格はイラン情勢も絡み上がり始め、国際帝石の株価も上がっています。この2月の資金需要は多くなく巨額にはならないと思いますが…過剰流動性から金融相場のシナリオは明確になっています。
劣後債を発行するほどに追い込まれていた野村証券が生き返ってきましたね。きっと空売りが入るでしょうね。世界の環境下は間違いなく過剰流動性相場からインフレなのですが、どうしても日本の財政問題の行方が気になります。また混乱する政局になるのでしょうか?同時に絶対に避けられない乖離調整も気になります。乖離調整は下値で買った人の利食いを促し、乗り遅れた人に参加のチャンスを与えるもので相場が大きくなるための必要な過程です。
2月末のECBの資金供給額が流動性相場のスケールを決め財政問題を軽減します。先日、先進国と新興国の溝の話をしました。ベルリンの壁崩壊が先進国と新興国の溝を埋めた訳ですね。ベルリンの壁崩壊は天安門広場の事件に発展し、鄧小平は南巡講話を決断しました。市場原理化が一気に先進国のマネーを奪い、新興国に流れました。この影の立役者が金融危機の発端になった悪名高き金融デリバティブです。金融技術の進化が政治情勢の不安な新興国への資金提供を促進させたのですね。その為に一気に先進国と新興国の溝が埋まり開発競争になったからコマツが大きく上がったのですね。
米国発の金融危機は新興国の進歩の流れも止めるもので、欧州危機も同じ理屈です。だから、一時、レアルが売られましたね。資金の引き上げが始まりました。…ここで大きな流れが転換しました。ベルリンの壁から金融デリバティブの発展が、ボルガー・ルールやBIS規制により流れが変わるのでしょう。先進国は何処も財政難です。日本の実例を見れば分かりますね。5人に一人が4人に代わり、やがて3人になる。現役世代が四苦八苦し20万円を稼ぐのに、旅行を謳歌し遊んで暮らす年金世代の20万円を支える構図は原理が矛盾していますね。市場経済は市場を通じて歪みを正すものです。
ようやく日銀は一昨年に資産デフレ対策に手を打ちました。しかしこの劇的な変化は当初は効きませんでした。失われた時代が余りに長いために、敏感に感じる積極派が壊滅した影響もあるでしょう。一番大きなことは、欧州危機の影響でしょうかね。今度はサプライズですが…一抹の不安を感じるのは日本の政局ですね。なかなか改革の気持ちになるまでには時間を要しますね。ようやく公務員の給料の削減が決まりましたが、ままごとですね。国家議員の定数削減も絵に描いた餅になるかどうか…。この一抹の不安とは、転換スピードが遅く米国から欧州に発展した金融危機が日本にも発展する可能性が若干残っています。
あるいは、この過剰流動性を糧にして日銀がもっと積極的に動き、スムーズに政局が動くなら…インフレを伴った財政問題の削減が成し遂げることが出来るかもしれません。インフレは現役世代の負担を軽減し、年金生活者の生活を圧迫します。だって23年も僕ら株屋の市場原理派は悲哀の人生を歩みました。公務員や年金生活者が今度は順番からすれば我慢すべき時代でしょう。インフレは借金を軽減させ、稼ぐ世代を応援する若者社会の政策ですね。
何となく揺れる心情を御理解いただけるでしょうか?
過剰流動性から金融相場が確定していると思う反面、まさかの魔坂の落とし穴があるかもしれない。でも、もう一度、騙されて浮かれてみたい気もする。果たして野村証券の株は、このまま4ケタに向け動くのでしょうか?それとも日本発の財政危機が生まれ消えてなくなるのでしょうか?まだしばらくは金融相場の色彩が続きますが、混乱する政局になるとすんなり事が運ばないかもしれませんね。
昨日のレポートを補った解説でした。
