思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« J・TECの決算を見る | 最新の記事 | 007ことユビキタスの決算を考える »

ケネディクスの決算と背景(2015年02月11日)

まず、冒頭に、お詫び申し上げます。今日の市況などで、何度か「三井住友銀行の自社株買い」と取り上げていましたが、正しくは三井トラストの誤りでした。完全にカタルの勘違いでした。誤りを訂正し謹んでお詫び申し上げます。しかし野村証券は、僅か300億円の自社株買いですが発表しており、基本的にROE経営を実施するために、豊富な企業の現預金が自社株買いに向かっております。更に地銀などの自社株買いも見られ…、基本構想は、変化ないと考えております。ゴメンね。読者からの指摘で判明しました。教えて頂き、感謝申し上げます。カタルの原稿は精査し、書いておりますが、時々、このようなミスもありますので、ご指摘いただくとありがたく思います。尚、皆さんも、勘違いや認識の間違いがあるかもしれませんので、その旨、ご了承いただきたく思います。

さて、ケネディクスが、昨年の決算発表をいたしましたので、それに絡み、カタルの基本構想を申し上げます。

カタルは市場原理の資産効果を否定したので…日本が、「失われた時代」に突入したと考えています。その原因はプラザ合意による影響である円高不況に対応するために、日銀が低金利政策を実行し、円高を是正しようと金利平価説を、政策に反映させたからです。その為に不動産神話を背景にした過剰融資がバブルを生み出し、その成長を支え切れずに、この仕組みが破たんしました。此処に宮澤喜一などの不動産バブルつぶしの政策が上乗せで働き、更に、更に、金融庁の清貧思想が、企業行動の過剰な委縮を生み出したのです。故に、現在の「流動性の罠」の状態に陥ったのですね。

デフレの根幹は、基本的にこのように…政策の選択ミスが重なり、失われた時代を築いてきました。故に1990年に2477兆円まで大きく育てた国民財産である土地価格を、2013年の1120兆円まで減らすことに成りました。実に23年かけて、1357兆円を失ったのです。毎年59兆円もGDPの10%を大きく超える金額を、毎年生み出す勤労所得で、資産の減損処理をして埋めてきたのです。この政策では、基本的に、名目GDPが上がる訳がありません。故に、ながいデフレ状態が続いたのですね。

その間、世界は、中国の様に資産効果を利用し、躍進を遂げたのです。先進国の米国も金融危機で失った不動産価値を、FRBは否定せずに、回復させ育ててきたのです。市場原理を知っていますね。清貧思想の日本と違います。何が「ものづくりの国」だ…。結果的に間違った幻想を、メディアは、国民に長く植え付けて来たのです。これが、そもそも大きな間違いの元ですね。こんな簡単な理屈が、何故、政策官僚に理解できないのでしょう。だからようやく、デフレ脱却に舵を切った政策を反映する「1300兆円の逆襲」が、株式市場のテーマなのですね。

c20150211a.gif

今日は日銀から、不動産向け、融資のデータを持ってきましたから、この数字をみて下さい。わが国の不動産向け融資は、1997年の65兆315億円(関連投資は27兆円ほどです)をピークに減少します。ようやく2003年48兆1611億円で融資残高が底を打ちますが…1998年から2003年までマイナス比率が6年も続きます。カタルが金融庁の清貧思想を批判する理由がわかるかと思います。マイナスですよ。しかしケネディクスの創業もダヴィンチもそうですが、この時期に、地価は下落して行き、ようやく、本来、持っている利回り採算が合うようになりますね。今では収益還元法と言う不動産の利回り採算を基準に地価は動くようになっていますが…、未だに地方の収益採算は10%を大きく超える物件が、多く散見されます。ただ東京では、3%を割れるものも見られるようになっていますが…、これは値上がり利益と言う資産効果を全く織り込んでいませんね。

ここで最近の動向です。ブラックロックと言う米国のヘッジファンドは、昨年5月に、シンガポールのMGPAを買収しましたね。今回、発表された森トラストが落札した目黒の雅叙園1300億円(推定)を、中国投資有限責任公司(CIC)がスポンサーと思われる「ラサールインベストメントマネージメント」は、1400億円(推定)で取得したと言います。わずか5カ月で100億円の利益ですから、18%の利回り採算ですね。シンガポールの政府系ファンドも、日本の不動産投資に熱心です。今回のケネディクスの投下収益率も会社説明会資料によれば、年換算で22.2%のリターンだそうです。

カタルがAUM残高を元に20%の利益と弾き、ケネディクスの真の利益度を観ていたのは、このような背景があるのですね。異次元緩和を実施している、日本が置かれたバックボーンを確りと認識しておれば、ケネディクスに対するカタルの期待度の高さが理解されると思います。しかし…折角の好環境なのに、宮島さんはカタルから見るとノンリコースを利用するように保守的に見えますね。やはりダヴィンチの金子さんから見ると、器が小さく見えます。まぁここ2年から3年は、ケネディクスの潜在成長率が非常に高いことに変わりありませんが…、カタルが期待する、「リートはPFI」だという、コンセッションへの取り組み度合いは、未だに見えませんね。ソニーのネットテレビへの取り組みと言い、ケネディクスのコンセッションへの取り組み方と言い、経営者の1流域と言う人間は、なかなか居ませんね。

まぁ、一流域なら、ここまで疲弊する事も無かったですからね。仕方がないと言えばないのでしょうが…。やはり経営者の資質の物足りなさは否めません。しかしNTTを取り込んだことは大きく、昨日上場された商業リートは、この後、NTTの物件も持ち込まれると思われ、他に比較すると良い事には違いありません。海外展開も見据え、将来はグローバルでの活躍も期待されます。今後、リロ・ホールディングあたりと組んで、海外展開を図ると面白いですね。更に日本郵政ですね。カタルが社長ならトップ交渉で日本郵政を落とします。郵便局は全国的にみて価値ある物件を多く抱えていますが、資産の有効活用が出来ていません。都市銀行も金融庁の業績指導方針にもよりますが、資産の有効活用が遅れており、いくらでも収益化が実現できます。少し宮島さんは復配を成し遂げ、正常化したのでホッとしている観が、感じられるように…思っています。

株価が大きく上昇するためには、どうしても仕掛け人の存在が、必要不可欠なのです。バックボーンも、今後の増額修正度合いも、大きいのです。何故なら、昨年末の数字を纏める為に、損失は前期に押し込み利益を減らし、今期に、既に利益を先送りしています。昨日、上場された商業リートも、NTT都市開発の後続も考えられ、他のリートより魅力が大きいのでしょう。故に、公開価格の23万を大きく上回り、時価は26万台なのでしょうね。この売却分の800億が、今後、再び新開発に向かう訳です。物件の取得具合を見て貰うと分かりますが、ブリッジファンドへの投資が、多いでしょう。これはケネディクスならではですね。残存のAUM残高が1兆4000億円を超えるから、出来る技なのですね。一から開発投資をしなくても済みますね。

不動産投資と言うのはレバレッジ機能を使うと、収益が格段に変わります。借入金利は1%台であり、運用利回りは10%台もゴロゴロしている訳です。問題は受け皿なのですね。リートを地銀各行が購入する流れは、今年も変わらず、受け皿は豊富に存在します。だからいくらでも利益は作れます。この辺りはCDSの仕組みなど考えると分かりますね。メザニンローン投資とか…色んな仕組みがあります。ケネディクスはブリッジが効きますから、他の不動産会社に比べ、格段に有利なのです。

今期、一株利益は22円予想ですが、前期同様に、1Qか、2Qで既に数字は達成でしょう。今年は昨年に比べ、含み損失の不動産は殆どないのです。だから利益を隠せませんね。それに昨日、上場された商業リートに、春にはヘルスケアリートが上場されますからね。私募ファンドで抜き、ブリッジで抜き、AUMが拡大する環境故に、企業業績の変化率が大きいのです。今年はどうしても…好調な筈の米国の自動車販売は変化率が落ちます。その中で、控えめの…控えめの数字で、最終利益は23%アップなのですね。潜在成長率の高さが、際立ちます。異次元緩和と不動産融資の伸び率推移をみると…ケネディクスが置かれた環境が分かるかと思います。ケネディクスの会社説明会資料は此方です。

米国の雇用統計数字は、又の機会にしましょう。それでは、また明日。