思わぬ相場の真実が発見できる

コラム

« 投資の原点 | 最新の記事 | 「泣き」… »

後ズレする市場(2014年03月16日)

株屋を辞めても、相変わらず、株屋精神は変わらないようですね。最近は反省の日々が続くようで、何故、見方を間違えたのか? 反省する日々が続くようです。基本的にハイリスク投資を望むために、通常の業績変化では満足せず、大物狙いする心が問題なのでしょう。現在、カタルの心を動かすのは3銘柄だけの有様で、何れも調整過程です。中には007のように仕切り直しを迫られた銘柄もありますからね。結局、経済全体の角度が…この表現は分かりにくいかな?一般的にはGDPの成長率でも同じなのですが…高い状態でないと「見えない利益」が充分に評価されないのですね。本来の株の面白さは、強弱感の対立にあります。最近は空売り筋が負け続け、売り残がなかなか膨らみません。規制当局も直ぐに規制をかけますからね。人気と言うのは、ワクワクを感じるかどうか…なのですね。過去の大化け銘柄、全てが時代性を背景に大きく育ちました。僕が証券界に入社した時は、第二次オイルショックの最中で、日本石油の2480円だったかな? 

あるお客様が、この高値圏で日石を2万株売却し、1万株の売却代金で家を新築して、もう1万株で、当時200円前後で低迷していた日立を10万株買いました。その日立が1年か2年だったか忘れましたが、人気株になり800円台になった時に、彼はその日立を10万株売り、大正製薬を10万株買ったのですね。今度は、この大正製薬が2400円台だったか…になった時に、彼はこの世を去りました。日石を売却した時には既に高齢だったのです。その後、あとを継いだ息子は、証券会社の手数料の餌食に消えました。まぁ、元の日石も、僅かな資金で買ったわけですが…しかしあの切り替えはお見事でしたね。長い間、証券マンをやっていると、いろんなお客様と付き合いますからね。

カタルに欠けるには、やはり時代観のスピード変化に合わせることなのでしょう。明らかに2012年11月からの政策のスピード感は、昨年夏には消えている訳です。カタルが二度目に推奨したケネディクスが、なかなか500円台を離れることが出来ず、とうとう52週線の維持すらできなかったのは…アベマゲドンの評価が、外人に定着したからでしょう。その為に、昨年末の先物からの演出が行われたわけです。新興御三家の相場を批判していたのに…。しかし同時に、この時期に金融相場から業績相場の様相に、相場は移行していました。ダイフクは物流システムの雄であり、インターネット通販から物流は大きく伸びる成長分野でした。此処に金融力の物流リートが参入します。海外勢の投資が盛んになりダイフクの成長を助けました。明らかに業績相場への変化ですね。

マツダからアルプスが活躍したのは、負け組の出遅れメーカーもそれなりに合理化して来たところに、円安の追い風が吹き、業績が好転しました。その為に国内工場の稼働率が上がり利益が生まれるようになりましたね。通常の景気循環は金融支援や政策支援により経済活動が活発になります。この時期が金融相場の時期です。企業業績が赤字の段階で株が上がってきます。金融相場の3点セットは銀行、証券、不動産、しかし何故か、今回は銀行株や証券株は思うような上げにはならず、直ぐに横這い相場になりました。通常は2段、3段と上を目指す筈なのに…。カタルは増資で浮動株が増え、株主構成のバランスが悪化したためと判断していましたが、アベノミクスの相場の質を表していたのかも知れません。

第三の成長戦略は、どれも腰折れでした。その為に再び現在、安倍政権は再構築を迫られています。しかし日銀も緩和姿勢を示していますが、どうも真剣みに欠けますね。JAの矛盾を突き崩せずに、自民党内に不協和音が聞こえるようじゃ…なかなか政権内部も一筋縄では行きません。どう考えても我が国の農業の就業年齢が65.8歳でした…かね。衰退する形のままで、良い訳がありません。オランダに学ぶことは多い筈です。ハイテク農業の世界最先端を行く農業機械は、日本の得意分野であるはずなのに…現状は負けている訳です。JAに未来はないですね。コメなど自由化し、全ての農業分野で関税ゼロをめざし、時間をかけて5年から10年の段階的な時間猶予を貰い自由化すべきでしょう。

2009年、日産がマーチの生産をタイへ移管した時に、日本の内外価格差は解消されたのでしょう。ユニクロの成長は代表的な事例です。最初はあの価格設定は衝撃的でした。フリースなど…一時、トマトなどを販売していた時期がありましたが応援したものです。そう言えば、あの折り畳みの傘は、今でも使っていますね。1本500円だったと記憶しています。カタルは2004年かな? 大塚家具で800万ほどだったと思いますが、家具を揃えました。今回は引っ越しにあたりニトリを利用し僅かな出費でしたが…この価格設定も驚きでしたね。カーテンが2万前後じゃないかな? 前の時はたしか…一つの窓に10万程度の商品だったように思います。まぁ、向こうから寸法を測りに来てくれてピッタリ合ったのですが、ニトリでも十分に機能はしています。おそらくユニクロよりスピードは遅いけれどニトリもグローバル戦略で成功するでしょう。

話しはそれましたが、時間軸と時代変化のスピードが鈍化しているから、期待する相場展開になっていないのでしょう。通常、金融相場から業績相場に移行した後は、再びデフェンシブストックに向かいます。さて思い出話で日石から日立、大正製薬の成功事例を掲げたのは、この投資行動が理に適っているからですね。日石はある意味で金融相場の銘柄とも言えます。あの時に買われた背景は違いますが、鉱物資源価格が高騰するのは相場ものですから先に動くのですね。1999年春に石油価格上昇を受け産油国は潤って行きますが、実際の加速は2003年ですね。この時期に金融デリバティブ機能が開花します。ドバイの発展はまさに「金融デリバティブ」の発展による成果でしょう。カタルが金融株やケネディクスに拘っている背景には、信用創造の進化がありますが、日本はそれを活用していませんね。お金など開発に必要がないのですね。政府主導で公共事業投資をするという考え方は、古い考え方です。

ダイフクの事例を示しましたが、ダイフクの成長を支えているのは、利回り採算に合う投資ですね。リートの存在なのです。リートは不動産から発展していますが、介護の分野にも応用できます。地方政府は財政難を理由に介護施設の需要に応えていませんが、リートを活用すればいいのですね。金融はアイディア次第で無限の発展が可能になります。カタルが、何故、政策次第で、ケネディクスが1万円と述べているか? このラインまでの発展が想像できるからですね。東京駅は建て替えが必要でしたが、建て替え資金がなかったのです。あの建設費の500億円は、東京駅の空中権の売却で生まれています。都市のヒートアイランド現象解消の為に、海から繋がる道からの風の流れを、遮らない工夫から生まれた特例法案ですね。この工夫により東京駅も、空中権を買った丸の内のビル群も、開発投資が膨らみ需要が生まれたのです。同じことですね。日本の新しい時代の成長は既に始まっているのです。間もなく介護リートがスタートします。このような本命の銘柄として、カタルは「ケネディクス」を推奨しているのですね。単に持っている不動産が上がると言うキャピタルゲインの小さな話とは、違うのです。利回り採算に合うなら、どんな事業もリート化できるのです。

ただ何故それほど、優秀な銘柄が52週線ラインを維持できずに下げるのか? ここが政策スピードの問題なのですね。東京駅は特例法案の誕生で、あくまで特例なのです。この特例を一般化させれば、日本は明治維新、戦後復興に続く、成長期に入れますね。この開発概念に、スマートコミニティーのIOTの考え方を組み込まねばなりません。クラウド環境により、様々な効率化が誕生します。先日、大阪―東京間の移動時間の話をしました。例えばヤマト運輸の小倉さんが、国土省の役人と喧嘩しながら…山形だったかな?…の営業権を手に入れたから、宅急便が加速し翌日配達が可能になって行きました。今では物流の進化から即日配達も可能になっています。これは効率化が見える事例ですね。人間がクラウド環境の活用により、効率的な時間概念に変化していく成長力を示しています。余った時間を、他の生産活動に充てることが可能になり、少子高齢化でも経済成長が出来ることになります。介護スーツの開発は、介護の効率スピードを高めます。信用創造とスマートコミニティーのカタルの狙いは、正しい筈です。問題は政策のスピードの問題なのでしょう。カタルは見えない利益、未来社会を想定し動きますが、実際の移行は時間が掛かります。

相場全体にユトリが生まれると…この見えない利益を買い、株価が押し上げられ、さらに資金が集まり、実社会の現象を加速させます。ところが…相場全体が下落し、ユトリがなくなると、見えない利益なので不安が生まれますね。逆循環が始まります。だから昨年の秋に政策支援が必要だったわけですが…駄目だったのですね。その為に619円を抜けずに、更に52週線を維持できずに、株価は下に押されたわけですね。見えない利益を買う相場が生まれ、はじめて日本は成長路線に戻れますが…今の状態では「失われた時代」を続けているようにも見えますね。消費税の引き上げは財政改革ではなく、既得権勢力の延命策に見えるから…面白いものですね。時間的優位を勝ち取った官僚勢力と言う評価に、市場は傾いているようにも見えます。