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2010年02月27日

売上げ推移を追う

今日は久しぶりに個別銘柄を採り上げて、業績の分析方法について一例を掲げます。
まぁ、基本的に業績の原泉は売上げの推移にあります。現在は売上が伸びないデフレ時代なので経費を削り利益率を重視していますが、株価が上がる一番の魅力は増収増益の高い上方変化率ですね。基本的にデフレは売上げが減る右肩下がりですが、株価は名目の世界です。数字にデフレーターはないからですね。だから売上げが増え1株辺りの利益が上がることが株価を押し上げます。つまり業績を見るに当たって「売上げ」が伸びる環境かどうか? ここが一番重要です。

自分が買った銘柄の株価の行方は、誰もが知りたいものです。最初に気にすべき重要な要素は売上げの推移です。今はデフレ時代で利益の上がらない事業は敬遠しがちですが、本来は利益の水準より売上げの伸びが重要視されるのが普通です。だから2005年頃の日本の新興企業はM&Aで事業拡大を図りました。ところが政策がデフレ堅持の為、そうして世界の金融情勢が激変した為に、この決断は逆に働きマイナス要因になりました。インデックスを思い浮かべれば、お分かりいただけます。つまり2005年から2006年にかけては規模拡大ではなく、不採算事業の事業撤退が正しい選択だったのです。結果論を述べるのは誰にでもできますが、決断するのは大変です。株式投資も同じですね。あの時の選択肢で一番、正しいことは株をやめて債券を買うことだったのです。株式をショートして債券の買い。何事も基本は大切です。

今日は企業業績の基本である売上げの変化を見るために、わが国の自動車産業の決算を見てみましょう。基本的に四半期決算はインターネットで、各社のホームページに掲載されており並びに金融庁のEDINETで資料は御覧になれます。それにしても金融庁のページは使いにくいですね。お役所仕事です。予算ばかりかけて使いにくいものばかり創るのです。まぁ、批判は兎も角…。かたる君の場合は規格が統一されている決算短信を用いて資料を作成しています。エクセルにそれぞれの数字を落として計算しなおしグラフにします。この作業は大変な時間が掛かりますが仕方ありません。

四半期別と言っても、第一四半期はそのままですが第二四半期の数字は1Qと2Qの合計値が出ています。同じように第三、第四四半期の数字は合計値ですから、四半期別の売上げを引き算して出さねばなりません。通常、季節要因などを把握する為に5期分ほどのデータが必要になりますが、あまり長いと大変ですね。もちろん長ければ長いだけ資料としては色んな要素を考えられますから良いと思います。しかし株価に影響を与える範疇は3年から5年で充分でしょう。

さて注目銘柄の「マツダ」を調べようとします。
何故、マツダかと言えば今の時期の株価は既に問題を起こしたトヨタでさえ、純資産価値を上回って推移しています。ところがマツダは純資産価値を下回っているからです。当たり前ですね。競争力がない3流企業だから一流のトヨタやホンダなどと比較にならないわけです。故に回復はトップブランドに比べ遅れます。商社の双日も同じことです。しかしトヨタもホンダもある程度株価が回復し、変化率と言う観点で見ると…どうでしょう? 絶好調の中国の自動車販売で、成功者は日産とマツダです。しかし日産は内陸部が中心で販売自動車価格が低いものが多いようです。逆にホンダは利益率が高いですね。マツダもマズマズでしょう。スバルなども純資産価値を割れていますが、肝心の中国部門が希薄です。故に中国戦略が積極的なマツダを選択している理由ですね。先ず、売上げ推移を追います。そうして各四半期別の売上げ推移を見ます。上が合計値で下が四半期別の数字です。ここで気になるのが3Qの売上げが、2Qの数字を下回っていることです。

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ここで各社別の推移も同じなのか見ます。
上は各社別の売上げ前期比の増減ですね。確かにマツダの売上げは3Qで減っています。気になる材料ですが前年比率ではどうなのでしょう? 前年比率では大きな落ち込みではなくむしろ伸びています。個別の何らかの事情があるのかもしれません。まぁ仮に前期比が落ちていても1月の数字はマツダが一番伸びていましたね。ここで言いたいのは自動車だけではなく、全ての銘柄の業績比較のやり方としてこのような方法論を用いることが可能だと言うことです。更に株価に大切なのは、事前予想を増額修正するかどうか? つまり予想に対し実体がどのように変化しているかは非常に重要な要素になります。一度、皆さんも自分の持ち株の業績推移を調べたら如何でしょう?

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投稿者 kataru : 11:13 | コメント (0)

2010年02月20日

FRBの動きと政策

米国では出口戦略への足固めを行いました。日本での報道が少なく突然の緊急利上げの印象が強く驚いたようですが、今朝の新聞によれば10日の議会証言で「まもなく公定歩合を引き上げ、主要政策金利であるFF金利との金利差を拡大する」と述べていたようです。平時の1%の金利差に戻そうと言う第一歩なのでしょう。今後、膨らんだFRBの資産圧縮が課題になり、超過準備預金への金利を主要な政策金利として一時的に代替したあとにゼロ金利を解除すると読売新聞に報じられていました。

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事前説明がないなんて…と思っていましたが私が知らなかっただけなのかな?
それとも日経新聞の怠慢かな?

まぁ兎も角、市場原理に基づいた正常な形への変化と前向きに考えたほうが良いでしょう。公定歩合は中央銀行が、直接、金融機関に貸し出す金利、FFレートは市場金利、日本の場合は無担保のコールレートが市場金利と言う理解です。

異常な金利状態下だから割安なのでしょうが、資産デフレに言及しない日銀の態度はどうも市場への活動を鈍らせるものになります。インフレターゲット論を否定しても良いですが、問題は経済情勢を忍耐強く自然回復を待つのではなく、他の方法論を提示しなくては仕事放棄に映ります。何しろ1995年から1%以下の市場金利が続き、それでも尚、資産デフレが進行し、株式市場では黒字で配当を実施しているにも拘らず、純資産倍率1倍を割り込む銘柄が続出していると言うことは、更なるデフレが進行することを前提に動いていると言う市場の不満に白川さんは応えるべきでしょう。はっきり言って三菱UFJ銀行が純資産を割れているなんて異常な現象です。都市銀行の店舗は田舎にあるのではなく都心の一等地に店舗を抱えています。どう考えてもTOBをかけて買い取り経営者を変えさせるべき価格ですね。

ダヴィンチが債務超過になるのも政策の責任でしょう。可哀想に金子さんは非常に優秀な経営者だと聞きます。兆円単位の不動産を抱え、現在の会計システムで、尚且つ、この金融環境下では、なす術がないでしょう。何とか生き残って欲しいけれど…。目茶目茶な政策ですからね。既に1995年から15年も縮小政策が維持され日本の内需企業は風前の灯です。日立やNECがどうにか資金調達により生き長らえているだけです。しかし改革を実行しなければ、第二のJALの運命へと着々と時間が進んで行くのでしょう。ホンダは輸出依存比率を落し、現地生産に乗り出し日本と運命を共にすることから決別しました。その為に、今日の日経新聞に報道されているケーヒンのように国内工場をグループで集約しています。民主党政権に移り企業はようやく決意を新たにしたのでしょう。ここに相場の芽があるように感じます。

平野発言は日経新聞には掲載されていませんね。たしか…。あまりメディアで見ていません。実は共産党の志位さん鳩山首相との会見の中で企業の内部留保への課税が検討されているというのです。この発言が実現すれば、ある意味で真剣勝負の企業経営が促進される前向きな評価も出来ますが、一方では企業のゆとりがなくなり長期戦略が採りにくくなります。故に国内企業は海外逃避を考えるのでしょうね。グローバル化の推進になります。株式市場への影響はマイナス評価がある一方、無駄な資金留保がなくなり積極的な効率化経営に繋がるとの見方も出来ます。経営者は失敗が許されない過酷なサバイバル競争を強いられますから経団連などの組織は反対しますね。もう少し考える必要はありますが、賛成かな? だいたい日本の企業経営者はぬるま湯体質ですからね。株式持合いもそうだし…。

今日は金利の話などを中心に、考えてみました。

投稿者 kataru : 10:41 | コメント (0)

2010年02月13日

世界から見た自動車産業

今日は一日中、資料集めに追われていました。そうしてこの時間です。
最近は色んな統計資料を見るケースが多く、本当は決算発表もあったから、そちらの方に力を注ぐべきなのでしょうが、目下の関心事は自動車販売とGDPの変化とか…なので、現在はグローバルな視野で自動車を見つめなおしている関係上、有意義なレポートを書いている時間がなくなりましたから、今日は各国の自動車生産台数の変化を見るグラフを掲載するだけに留めます。ご容赦下さい。

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世界の車の生産を見ていると面白い事に気付きます。何故、スペインの自動車生産が多いのか?とか…。先進国の米国は一貫してシェアを落としている理由とか? おそらく日本の自動車メーカーはタイでの生産を加速しますから、これからタイは欠かせない資料だなとか…一つのグラフでもいろんな事が分かるのです。

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日経新聞の解説が間違っていると思う背景は…中国の人口と保有台数の変化から、やはり販売台数が2000万台ぐらいは軽く越えると思っています。何故なら中国の人口は13億人でその半数の保有台数まで20年かかるとすると6億5千万台です。現在の保有台数は多く見積もっても8000万台ぐらいでしょう。つまり5億以上の販売台数だから20年で平均2500万台ですよ。当然、この20年の内には買い替え需要も相当見込まれますからね。日経新聞が過剰生産を指摘するのは間違っていますね。ピーク時は3000万台を超える可能性があります。GDPの成長率は5%に落ちても、一人あたりのGDPを4000ドルの基点にすれば10年で6500ドル以上でしょう。やはり充分可能性があると思うのです。

投稿者 kataru : 21:38 | コメント (0)

2010年02月06日

失われた時代の背景2

先週はベースマネーの話しをしました。
ベースマネーは通貨供給量の元です。この数字を増減させる事により経済活動のコントロールが出来ます。経済活動が活発になれば借り入れを起こしても儲けようと思いますから、裏返すと順調に経済成長が続くと言うことは銀行貸し出しが伸びる事になります。日銀の使命は安定した物価と経済成長を両立させなくてはなりません。つまり物価が安定しているなら経済成長率にウェートを置く金融政策を採用しなくてはなりません。ところが「流動性の罠」に陥った状態なのに自分たちは一生懸命に頑張っている。後は財政政策の問題だと政府に景気の匙を投げている状態です。

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この傾向は銀行貸し出しに現れています。銀行貸し出し推移から見るとバブルの清算が終わるのは実に2005年なのですね。1989年の発生したバブルの崩壊の清算が16年もの時間をかけてようやく終るのです。しかし今でも「りそな銀行」は公的資金を完済していません。アメリカの実例と比べてみれば分かりますね。金融危機の時は迅速な対応が不可欠なのですが、国民感情に配慮するあまり、当時の宮沢、竹下などの歴代の総理や大蔵大臣は対応できなかったのです。住専が良い例ですね。まぁ昔のことは、兎も角、ここでは日銀の資産価格に対する認識が不足しているが為に、金融政策を間違い続けている現状が分かります。

先日、1999年当時の日銀の議事録が公開されました。9月21日の議事録によれば速水氏は「責任の持てる緩和処置はこれ以上考えにくい。効果が期待できない政策に踏み切れば日銀の信頼を損なう」と述べて金融緩和に踏み込みませんでした。当時は世論の高まりを受け市場は日銀の金融緩和を催促していたのです。そうして9月には宮沢大蔵大臣と速水日銀総裁の異例の会談が設置されたほどです。それにも拘らず緩和処置は講じずに結局は最後に超緩和政策に追い込まれます。

先週の日経新聞にも国債買い入れを拒んでいる白川総裁の動向が載っていました。長いデフレ社会の構築により公定歩合操作(今は違いますが…)が効かなくなっています。金利を上下させる余地はなく、流動性の罠に嵌まっている状態ですね。正常な貸し出し行動が起こるまで緩和しなくてはならないのです。20年も続いた清貧思想のデフレ政策を維持しているので、なかなか変化は生まれません。ようやくバブルの清算が終わり、外資系金融のおかげで銀行貸し出しが伸び出した2006年に福井さんは出口戦略を強行します。

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この行動には1930年の大恐慌の反省がないですね。日本は二番底に陥りました。この状態に、この度のアメリカ発の金融危機が重なり日本経済は壊滅的な打撃を受けますが、幸い日本はバブルの反省により、世界的な金融危機は一部の金融機関だけのごく小さな損失で被害は最小限で済みました。問題は世界的な金融危機ではなく国内の清貧思想の浸透にあります。諸外国は適正な金融政策を実施し、経済は立ち上がったので輸出産業は回復しましたが、依然、国内金融政策が不備の為に内需が弱いのですね。大手50社の建設受注残推移を見れば分かります。建設資材のH型製鋼の価格推移を載せるまでもないでしょう。鹿島建設の株価が200円を割れている現状は、何も公共事業を削っているだけが原因ではありません。国土交通省は建築基準の緩和に乗り出しましたが、肝心の金融庁は、依然、コンプライアンスを理由に同じ引き締め状態です。今日は日銀の政策だけに的を絞っているから、あえて書きませんが経済全体は萎縮経済構造なのです。

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株式市場を見ていると分かります。黒字で配当をしている企業の株価が純資産倍率1倍を割れているのは、明らかに異常な価格です。通常はTOBが掛かりますがブルドックのように後出しジャンケンをする国だから、正常な感覚の資金が入ってきません。村論理を排除しグローバル感覚に日本を構造改革しないとなりませんね。少なくとも日銀総裁や財務大臣などは実力者を充てるべきです。日本に適任者が居なければグリーンスパンにお願いしても良いし…少し高齢ですね。兎も角、外国人でも構いません。物価だけでなく資産価格にも目を向けて、正常な貸し出し増加率が定着するまで、目安はGDP規模と同額の水準まで日銀は金融政策を緩和し続けなければなりません。論理的に自分の考えが正しくとも、市場が反応しなければマスターベーションに過ぎません。政策担当者は市場が反応して、初めて仕事をした事になります。かたるも同様の反省をしているわけです。

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投稿者 kataru : 05:13 | コメント (0)