« 2008年12月 | メイン | 2009年02月 »
2009年01月31日
オバマの怒り
「会社が経営破綻(はたん)の危機にひんして、国民の税金で救済してもらっている時に(高額のボーナスをもらうのは)あまりに無責任。恥ずべき行為だ」
今は一方的に批判ばかりされていますが、私はCDSなどの金融デリバティブ機能を高く評価しています。まぁ、株屋は政治家と違うので世の中の動きを決められるわけじゃないから、世の中の動きに合わせた行動を取らねばなりません。しかし近年、ものごとの価値観が大きく変わり、私には理解できないことがたくさん出てきました。信じられないでしょうが1989年に起きたバブル崩壊後の後遺症を、未だに引きずっている日本社会の異質性を強く懸念しています。だから単純平均株価がどんどん下がり続けるのです。この事は別の話なので今日は省きます。リーマンが倒産し、実体経済に悪影響を与えていますが、何故、金融不況の今、金融デリバティブを支持するのか? 理由は明白です。
日本は製造業を助ける国です。加工貿易立国で成長してきました。その反面、昔から「悪銭身につかず」との言葉のとおり、金融取引での不労所得を卑しいものと決め付けてきました。しかし実際の製造業も金融が支えています。金融が理想社会を創るのです。清貧思想では文化も進歩も生まれません。過去の歴史上の建造物は、全てバブル時代に生まれたものです。そのバブルが芸術家を支え宇宙ロケットのような冒険を支えたのです。スペインの時代も大英帝国の時代も欲が金融を支え人間は進化しました。近年の具体例を挙げればソフトバンクの存在でしょう。金融デリバティブ機能を駆使して、なしえない筈のボーダフォンの買収に成功しました。そのおかげでインターネット環境が整備され、携帯電話市場が栄え、日本はこの分野で世界トップの位置にあります。仮にあの時期に外資系金融機関が買収資金を提供しなければ、進歩も競争も生まれずに日本の現在の環境はなかったでしょう。
確かにオバマ大統領が激しき批判するように金融の世界には金の亡者がたくさんいます。しかし一部の目立った連中の為に、間違った政策を採らないでほしいと願っています。
人類史上のなかで金融デリバティブの開発は素晴らしい武器ですね。考えて下さい。挑戦できないことが金融デリバティブの発展で挑戦できるようになるのです。ITバブルが崩壊し、失っていた若者の心に勇気を与えたのは金融の力ですね。その為にライブドアのような批判もあります。しかし反面、多くの若者が力を手に入れて、日本を変えようとしたのです。残念ながら多くの若者は今回の試練で挫折しています。市場経済の波が試練となり経営者を鍛えます。金融デリバティブ機能を正しい方向に導くことが出来れば、やがて豊かな人類の未来が生まれるでしょう。今はその瀬戸際にありますね。何れはその道を歩むのですが、紆余曲折に道を歩むかどうか、今年の春頃までに判明します。
日本のGDP比率では、既に製造業の割合は低いのです。20%程度でしょう。豊かな日本を創ることは簡単なことですが、確実な結果が分からない為に、揺れる現象が至るところで生まれていますね。株価の方向性は政策で決まりますが、その政策は国民が決めるのです。ブルドック事件の最高裁の裁判官の今井功さん、今回のサラ金法の裁判官の泉徳治さんの判断は、私には理解できません。そもそもサラ金法の改正事態が市場原理を歪めるものなのです。一度決めた約束を、あとで変えるなんて…。こんな世の中を混乱させる法律を創る国だから、どんどん日本の地位は下がるのでしょうね。法律は国民生活の為にあると思うのですが…。
昔は一株辺りの純資産価値を割れないものでした。長いデフレ社会の継続がPBRと言う株式指標を歪めたのでしょう。清貧思想の極みが20年間の長期下降波動の現実です。今の株価は日本経済の没落を意味していますね。わが国の製造業を代表する日立が繰り延べ税金資産の評価減を計上しました。大企業が誤魔化しの経営をしていたのです。小さな会社ならいず知らず…。株価はある意味で正直に動いていますね。カラ売り筋はここを狙っていたのでしょう。2006年から2007年にかけて、私は復活を願ってそのシナリオにずっと賭け続けてきましたが、ここまで追い込まれるとは…。政治家にレクチャーするスタッフが果たして存在するのでしょうか?
一見してこのコラムを読むと弱気の流れに見えるかもしれませんが、今の金融市場は峠を越える位置にいます。丁度、峠を越えるすぐ前に分かれ道があって、どちらの道を歩むかどうか迷っているイメージですね。もう一つの道は紆余曲折のいばらの道を…。もう一つは直ぐに薔薇色相場への道です。方向性を決めるのは政策で国民が決めたのです。
2009年01月24日
オバマ大統領就任演説
何かが起こっている可能性があります。米国では新政権が発足し圧倒的な人気を誇っているオバマ大統領が選任されました。初の黒人大統領の誕生でアメリカはフェアな国を象徴したような出来事です。就任演説を読むと7つのフレーズに分かれています。
危機への決意 (In the midst of crisis)
国家の偉大さ (The greatness of our nation)
再生への道 (Remaking America)
安全と理想 (Our safety and our ideals)
変わる世界 (The world has changed)
新しい責任 (A new era of responsibility)
未来の世代へ自由を (Freedom for future generations)
危機への決意では…一部の者の強欲と無責任さの結果で経済の弱体化があるといい、同様に深刻なのは、国土に広がる自信の喪失であり、米国の凋落は避けがたく、次の世代は目標を下げねばならないと言う拭いがたい恐怖だと述べています。しかし我々は恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目標の共有を選んだ為にここに集まった。政治を長期間窒息させてきた、些細な不満や偽りの約束、非難や使い古された定説を終らせることを宣言する。
国家の偉大さでは過去の歴史を話し、米国再生の仕事にもう一度、着手しなければならない。と結んでいます。
再生の道で社会インフラ整備(デジタル通信網など)のあとに、市場で話題性があるグリーン・ニューデール政策に触れています。皮肉屋が理解できないのは彼らの足元の地盤が動いてしまい、長い間、我々を消耗させてきた陳腐な政治論議はもはや通用しないと言うことだ。と述べていますね。ロビー活動を禁止させた部分はここに現れていますね。市場の監視をこの部分で述べています。
安全と理想では、共通の防衛については安全と理想を天秤にかける誤りを拒否すると述べ、米国がもう一度先頭に立つ用意があると世界に呼びかけています。
変わる世界で、イスラム世界に対し相互の利益と尊厳に基づく新しい進路を模索すると述べ対話路線を支持し、自らも環境問題なので国際協調の立場を述べています。
新しい責任の時代では、我々の成功の土台となる価値観は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心に愛国心といった普遍の真実だと述べています。このフレーズの最後に黒人の父を持つ話があります。60年足らず前に地元の食堂で食事を出来ない父親を持つ男が今、もっとも神聖な宣言を行う為にあなた方の前に立つことでできると結んでいます。
未来の世代へ自由をでは、希望と美徳しか生き残ることが出来ないような冬のさなか、共通の脅威に危機感を抱いた都市の人と田舎の人がそれに立ち向かう為に進み出たと未来の世界で語られるようにしようと参加者の努力を訴えていました。(参照:読売新聞)
実に立派な演説です。
日本でも…「我々を消耗させてきた陳腐な政治論議はもはや通用しない」とチェンジを求めたいものです。加工貿易立国の成り立ちは難しいでしょう。丁度、地方経済を支える為の公共事業投資のようなものです。農業の収入を補う為に建設業への転換を図り無駄な投資続けてきました。社会全体に社会基盤がない時は有益に投資だったのですが…1980年代には構造転換が必要でしたが痛みを先送りした為に現状を迎えています。同じことが加工貿易にも言えるでしょう。毎日、午前1時に帰宅する若者が年金資金で旅行三昧している年寄りを支えられるわけがありません。オバマ大統領はメールを利用していると言うネット世代ですね。時代は変化しているから、ぼくらの生活も変えねばならないのでしょう。
2009年01月17日
二番底形成終了
ECBが0.5%の利下げを実施し2%の政策金利になりました。世界中の中央銀行が必死になって資産圧縮に伴う下落の痛みを緩和する為に大量の資金を供給し経済活動を助けています。財政出動の規模も大きな水準です。経済の教科書ではこのような処置をすれば景気は浮上するのです。
現在起こっている現象を分かりやすく解説します。金融デリバティブの信頼感から過剰な投資を行ってもリスクは軽減されるとの思い込みから、世界中の金融機関がレバレッジを加速させ、借り入れをどんどん加速させました。貸してはならない投資家に住宅価格の値上がりを前提に貸付を可能のしたのがサブプライム問題です。この債権を分離して証券化して販売したのです。ところがこの動きは住宅だけでなく、世界中のあらゆる商品に実行されました。
原油価格をはじめ市場性のあるあらゆる商品に、同様の仕組みが用いられたのです。企業への貸付も同じですね。TOBなどの企業を買収する資金を証券化してCDSと言う証券に置き換え、組み合わせてCDOとして販売することで小さな企業が、大きな時価総額の企業を買収することが可能になりました。その一例はソフトバンクのボーダフォンの買収です。通常なら数兆円もの企業の買収する資金を銀行は貸せませんが、証券化して分散することでリスクを軽減させて販売し、資金を集めたのがCDSの仕組みの一つです。この方法を利用すると無限にリスクを取ることができて資産の膨張を容認します。
つまりレバレッジを増やせば利益は膨らみます。100億円の貸し出しで1%の利鞘なら1億円の利益ですが、1000億円なら10億円、このレバレッジを70倍にすれば70億円の利益が得られます。通常の銀行業務はBIS規制があって10倍程度なのです。しかし投資銀行はその制限がないために過大に拡大していったのですね。レバレッジの拡大に実体経済が追いつかない現象が、米国の住宅価格で先ず現れました。サブプライム問題ですね。残高は2000年時点で560億ドルだったのですが、2005年には5080億ドルと9倍に膨らみます。この辺りで住宅価格の上昇率はピークを打つのです。それでもまだ住宅価格は値上がりを続けますから残高が増えて行き、問題化にされるのは2006年の末になる頃です。2007年には住宅価格は完全に下がりますから、どんどん不良債権化されます。
価格上昇を前提で貸し出されているローンが焦げ付き、リスクを分散した証券は買い手が付かなくなります。この現象が昨年の春の動きです。当初はこれだけの問題だと思われていましたが、他の商品にも形は違いますが同様の仕組みが存在しました。CDSの存在ですね。リーマンの破綻により全貌が明らかになりました。およそ70倍のレバレッジが掛けられていたのです。銀行のリスク許容度は10倍程度なのに…。投資銀行にも規制が設けられる事になりGSやMSなどは資産圧縮に乗り出しました。此方は先行組みです。既に昨年の11月末時点でほぼ適正水準になりました。しかし世界中の銀行が同様の作業を行ったので空前規模の収縮が起こったのです。この現象を解決するには自己資本を厚めにするか? 資産圧縮しか方法がありません。だから株価が大幅に下落したのです。

米国の大手銀行の株価を見ると、一度は圧縮が終了したかに思われたのが年末からの動きです。年初に株価が再び下げていますが、これは弱小の銀行、つまりシティーバンクとバンクオブアメリカのバランスシートの調整が済んでなかったのですね。その為にシティーバンクはスミス・バーニーを売却し日興証券も対象に…バンクオブアメリカは二度目の公的資金投入になりました。
多くの人が間違っていることがあります。今回の資産デフレは過度のレバレッジの修正に過ぎないのです。世界経済は共産圏の参入により拡大しています。当事国の米国は人口が拡大しています。一時的なバランスシートの調整なのですね。需要がなくなったとか…、確かに多少の需給バランスは崩れるでしょう。資源価格が下がりそれをあてにして経済計画を練っていた国の需要は減ります。しかし多くの経済活動の縮小はファイナンスが付かないからなのです。このバランス調整により金融機関が適正水準になれば収まるのです。だから通常の景気後退より回復が早いと考えるのが普通ですね。問題は痛んだ金融機関のバランスシートを修復できるかどうか…
現実の価格が20%の下落なのに証券化された商品は50%以上の下落している例はたくさんあります。そのためにバランスシート調整が済めば、忽ち現状追認になるのですね。勝ち組のGSなどは膨大な利益をまもなく計上する事になるでしょう。スミス・バーニーを買ったMSも同じです。だから三菱UFJ銀行も恩恵にあずかります。大変なことですね。多くの人は大恐慌と現在を比較しています。日経新聞にはロシアとインドの保護主義を掲げ不安を煽っています。しかし既に負け組みも最終コーナーを回ったのでしょう。問題はヨーロッパですが…日本、中国、米国が大丈夫だからね。株は上がるでしょうね。
株価が安いとか、高いとかと言う比較自体がナンセンスです。みんなが買えない水準だから安いのです。こんな事は誰でも分かることです。何時、バランスシートの調整が終わるかどうか? この見極めが株価の上昇を決めるのです。問題が表面化すれば終っているのが市場経済の常識です。

2009年01月10日
統計数字
様々な経済統計は発表されその数字に一喜一憂する市場をみて株価を予測するのですが、その読みは難しいのです。先ずは統計の信頼性が問われます。時代に合わせ統計の中身を少しずつ変えている例もあり継続性の問題もあります。日経平均株価などは銘柄の入れ替えがありますね。NY市場のダウ平均は採用銘柄も少なく僅かに30銘柄です。
しかも採用されているインテルやマイクロソフトはナスダック上場、ダウ平均の統計が始まってから採用されている銘柄は僅かに1銘柄でGEただ1社です。昨日、発表された米国の雇用統計は株式市場にとっては遅行指数です。つまり過去のデータと言うわけです。株式市場は常に6ヶ月先を見通すといわれていますから、過去のデータから影響を受けるのはおかしいのですね。しかしNY市場は下げました。他の要因があると考えるのが普通ですね。
更にデータの信頼性が問題です。朝日新聞社では「米労働省が9日発表した昨年12月の雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数が前月と比べ52万4千人減った。就業者数の減少幅は08年の1年間で計258万9千人に達し、第2次世界大戦の終了した1945年(275万人)以来の大幅な落ち込みとなった。12月の失業率は前月より0.4ポイント悪化し7.2%に上昇、93年1月(7.3%)以来、16年ぶりの水準となった。」と報じています。
そこで過去のデータを調べようと日経新聞社の此方のサイトを見たら数字が違うのです。実は雇用統計などの資料は速報値と確定値が違い後で修正されるのですね。日経新聞社の資料は、まだ修正されていないのです。だから2008年、1年間の合計数が合わないのです。
そこで大もとの米国で発表されている労働統計局に飛んで、元のデータを集めるわけです。そのサイトが此方です。1980年から試しにデータを集めて見ました。こんな感じです。ここで気付くことは、米国は成長していると言うことです。労働人口が増え続けていますからGDPは伸びるし株価も上がると言うことですね。過度の悲観はどうでしょうね。日本ではマスコミが盛んに、この度の調整は2年から3年程度掛かると述べていますが、当事者のFRBは2009年の後半にも回復するとの読みが報道されていますね。データを取る範囲により印象は変わりますし、グラフの作り方でも読み手の印象は変わるものです。人間心理は微妙なのですね。自分でレポートを書いてみると分かります。
どうやって見易くするか?
作者の意図により受けての印象が変わるのです。情報と言うのは統計資料一つによっても相場観が変わったりしますが、色んな情報を合わせて時代の流れを読まないと駄目なのですね。


