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2012年08月18日
動き出す現実
現役を離れてから初めてお休みを頂きました。
槍ヶ岳と言う山に行ってみたくなり登ってきました。残念ながら天候は良くありませんでしたが…綺麗な形ではありませんでしたがブロッケン現象を体験することが出来ました。ライチョウの親子に出会ったり…満天の星空を体験したり、キリと雨と風の中の山中でしたが…夜中の強風もなんとか静まり登ることが出来て良かったかな。天候に恵まれれば夕日に染まる槍ヶ岳を体験できたはずでしたが…夕暮れの山頂はきっと綺麗なのでしょうね。横尾山荘はマズマズの山宿でしたね。上高地は何度訪れても素敵な場所です。
さて帰ってきて新聞を眺めていたら、先ず飛び込んだのが…16日の日経夕刊です。「名実解消16年ぶり…」と言う政府見通しの記事です。民間の研究所は否定的なようですが、政策次第でいくらでもデフレからインフレに変えることはできるのです。その決定権を握っている政府が実質経済成長率を上回る名目経済成長率を打ち出した価値は大きいのですね。国債金利が上昇したり、為替が円安方向に向かったり…市場経済はターニングポイントを迎えたのかもしれませんね。例の「カタルの仮説」(官僚の本気度、政策変更)消費税引き上げからの実行が始まったのかもしれません。
加えて三菱地所が2013年の有利子負債金額が過去最高の2兆1100億円になる記事が紹介され借り入れを増やし不動産投資を増やしている記事や本日は横浜市の土地公社が1500億円の負債を背負って解散するそうですね。明らかに市場は動き始めている現象が随所に見られます。ブラジルが中国の真似をして公共事業投資を増やすと言う記事も刺激的ですね。3兆円規模なので少ないけれど方向性は正しいのです。オリンピックを控え新興国で注目している国の一つです。もう決定的と言っても…良い筈ですね。時機は到来しています。問題は何処の地点で加速を始めるか…。
一つの現象を簡単に書いていますが、実はどれも奥が深いのです。いちいち細かく解説しないと素人は気付きませんが…例えばUFJの受け皿に三菱が選ばれたように日本と言う国は三菱グループが実効支配と言うか…政策当局と非常に関係が深いですね。その三菱地所はここ数年、丸の内周辺の投資を加速させています。有利子負債が前期末から4000億円近くも増えて2兆円にもなると言う現実は大きなものがあります。借金ですよ。借金をして投資をしています。横浜市が不動産投資をした第3セクターの持っている土地が売られる訳ですね。一体、誰が買うのでしょう。清算と言うことは最終処分するわけですね。
まだ最初の現象に過ぎません。株が上がる準備が着々と進んでいるのです。大きな流れが転換する可能性をカタルは指摘しているだけですが…そのような方向性の目を持ってないと新聞を読んでも流れてしまう記事ばかりです。多くの表面上の現象は見えない糸で繋がっています。犯罪もそうですね。何故、そんな犯罪が起こるのか?表面的な事を追っても意味がありません。背後に隠された何気ない同僚の一言が犯罪の切っ掛けになり結びつくのですが、蓄積された背景が犯罪者の過去にあるのでしょう。みんな一緒ですね。人間の感情は何気ない普段の生活が蓄積され、些細な切っ掛けで行動に結びつくのです。水面下で恋愛も、あれこれ悩み妄想が膨らんで行動に移るのです。
今回の山行のなかでも、ある男性は下山したら14億円の物件を買うかどうか決めなくてはならないと言っていました。従業員も居るのでやはり悩みがあるのでしょう。つまり心の整理をする為に山に登ったのでしょうね。相場の値動きの中にも、様々なヒントが隠されていますが、その動きを感じる心が読みとる側になければ、見逃される現象に過ぎません。流れる雲を見て天候を感じ取る人も居れば、ただぼんやりと去りゆく夏空しか感じない人も居ます。人それぞれ、本を読み影響を受け行動する人も大勢いるでしょう。そう言えばゆとりツワーだったためか…山小屋の時間が長く新田次郎の「孤高の人」を漫画化したマンガ本が各山小屋に置いてあり、全巻、読んでしまいましたね。忘れていた本なので、もう一度読み返そうと思っています。
2012年08月11日
揃い踏み
消費増税の可決は日本的な決着で終わり、法案に明記された景気条項も玉虫色の努力目標らしいのです。11年から20年度の平均で「名目3%程度、実質2%程度」となっていると言います。この文言が「カタルの仮説」の「官僚の本気、政策変更」に繋がるのですが…果たして政策官僚は自分達の都合のいいように解釈するのか? それとも真剣に努力するのか?どちらなのでしょう。
昨日の日経夕刊の十字路で中前忠さんが「中央銀行を誰が救うのか」と言う記述がありました。これが一般的な認識なのでしょうか? おそらく彼はギリシャ国債の処理について話していると思われます。ECBが保有するギリシャ国債を減損に応じずに優先債保有者待遇扱いに直面している事実を、疑問視しているのでしょう。WSJの8月8日のニュースを題材に選んだのでしょうが…。馬鹿な…中央銀行を救う必要もなく通貨が劣化するだけですね。だからラストリゾート呼ばれるのです。中央銀行はいくらでも通貨を発行できるのですから、損失などあり得ないのです。あるとすれば貨幣価値の劣化だけですね。ギリシャ国債のような例が続くなら、ユーロはドンドン売られるだけですね。この点の認識が中前さんとカタルの大きな違いです。FRBも同じですよ。
日本の処理は国が国債を発行して銀行を救いました。後は「りそな」などを残すだけですね。大半の処理は既に完了しています。資産劣化の財務的な処理は通常の期間利益で補えるものではありません。資産価格を上げるしかありませんね。基本的に日銀は過去の失敗のツケを、今、ETFの買いやリートの買いで償っているのですね。だから絶対に資産価格は上がるのです。無限の紙幣が有限の土地や株を買うのですから…。あるのは円の劣化ぐらいのものです。
同じく昨日に日経夕刊ですが、ウォール街ラウンドアップに西村さんが「無視できぬ貿易構造」と米国の事例を引き合いに出し、日本の状況に警告を発しています。このような考え方が紙面に載ると言うことは…「カタルの仮説」の「最後の清算」と言うシナリオ、所謂、大幅な円安で物価高のジンバブエの世界の時間が近づいているのですね。日銀が自ら円を発行しユーロやドルを買って、その資金で外債投資をしろ…と、新日銀審議委員のモルガンの佐藤さんは述べていましたが…今なら何でもできますね。しかし実際に円安方向に動いたら…何もできなくなります。期間か限られたデフレ対策を含め、今なら政策の選択肢はたくさんありますね。
震災で資源のない日本の弱点が明らかになっています。米国にはシェールガスがありますが…日本はメタンハイドレートぐらいのものかな? 兎も角、貿易赤字は年々膨らみます。日本企業の投資は国内ではなく、全て海外ですね。あの板ガラスもベトナムで生産工場を造るとか…株価を見てから投資しろと言いたいですが…国内投資をしたシャープは男前を発揮した為に危機に瀕しています。300万台死守を公言したトヨタは高級車の生産を日本から移転させるとか…利益率の高い高級車も現地生産するほどの円高なのですね。
解散する前に、せめてTPP参加を既成の事実にして、衆議院の大幅な定数の削減を実行してから解散総選挙に踏み切ればいい。こうなれば野田総理はTPPの参加を強引に決め、衆議院の大幅削減を踏絵にして総選挙に臨めばいいのです。皆さんの関心は、目先のDENAの株価の行方などでしょうが…日本の舞台裏を考えると実に面白いでしょう。玉虫色に決着した消費増法案も名目と実質の影に隠れた見所があります。でも多くの評論家や市場ウォッチャーは段階的に引き上がる消費税の構造をみて、国内消費を喚起すると考え、住宅産業株を薦めるでしょう。大和ハウスに積水ハウスなど…たくさんの関連メーカーがあります。もし政策官僚が本気になってデフレからの政策転換を臨むなら、たくさんの選択肢があります。先ほどの外債購入からETFやリートの買い入れ増額とか…
識者は円安が日本復活のキーワードだと述べています。理由はパナソニックからソニーまで…日本の一流企業が追い込まれるほどの円高だから。マーチの存在は非常に深い意味があるのです。日本では既に大衆車は作れないのですね。トヨタがレクサスの生産移転を計画しているのはそろそろ限界点に来ていると言う証ですね。長いデフレの構造転換で空洞化が余儀なくされ産業構造が変わりつつあります。だからニトリから始まった視点を変えて…の考え方にカタル自身は変化しています。しかしこのように緩やかな改革では一般国民は潤えません。株価を見れば分かりますね。確かにカタルが沢井製薬を評価した数年以上前、あの時にゾロ製薬の話を何度かしましたが…この程度の株価上昇では商売になりません。だからカタルの関心は値動きの激しい携帯コンテンツに向かいましたが…現実は緩やかな構造改革への選択の道でしたね。株式投資で食えるのは1年で1回か2回のチャンスを生かす資産規模の大きなファンドだけでしょう。他は皆、討ち死にです。デフレ下で食える証券マンは居ませんね。しかし、もう直ぐ転換期です。昨年の中央銀行のそろい踏みからそろそろ1年が経過します。ドラギ総裁のクリスマスプレゼントから日銀のバレンタインまで…FRBを含め先進国の中央銀行が一斉に緩和政策を実施しているわけです。誰が考えても壮大なスケールの先進国の貨幣価値の転換が起こると考えていいわけですね。
非常に重要なキーワードは中央銀行の揃い踏みですね。3回目の緩和策を実施しようとしているFRBは、世界の基軸通貨を左右する戦略なのですね。
2012年08月04日
市場の焦点
市場には様々な焦点がありそれぞれに見所があります。一つは日本村社会の象徴の「規制の虜」インサーダー事件に絡み金融庁は野村証券に対し、業務停止命令ではなく業務改善命令だったですね。原発事故報告で明らかになった業界と規制当局の馴れあいを示す規制の虜現象は至る所にあります。一方、情報を利用した二次的な役割のジャパン社は登録を取り消され実質的な倒産です。フェアな基準がない、裁量行政は今に始まったことではありませんが、権力者は許され弱小の新興は潰される日本村社会のこの構造が、世界競争に負ける社会環境を生んでいるのではないかと、フェア重視の米国の仕組みと比べると考えさせられるわけです。
もう一つは話題になっているのは「ドラギの空手形」の話ですね。
昨日の日経新聞夕刊のウォール街ラウンドアップに西村さんが上手く状況を描いていましたね。「ボールは誰に渡ったのか?」今後の市場の焦点で面白いところですね。更に雇用統計を受け、失業率は上がりましたが、雇用者数は増加しました。家庭側と雇用者側の集計に違いで異なる結果が生まれましたが、これを受けNY市場は大幅高しました。完全に日本化現象に陥っていない米国との印象を受けます。まだ市場原理が働いているようです。理由は益利回りの考え方の違いで、株が買われているのでしょう。JNJはどの社債より配当利回りが高いと言う理由でPER21.9の高いと思われる株価水準を維持しています。この理屈なら邦銀株の方がずっと割安ですね。
まぁ、数々の焦点はありますが、今日のカタルの選択は、揺れる市場の的であるシャープの話を探ります。シャープは数年前まで世界トップの液晶メーカーで最先端を走っていたのです。ところが経営戦略の失敗で競争に敗れました。もともと薄利多売の過酷な競争環境に挑んだのが間違いだと思っています。「ものづくり大国、日本!」の掛け声は「鉄は国家なり」と同等の時代錯誤した虚しさが残る言葉ですね。政策官僚は一度、新聞配達の世界を見てみればいいのです。時給500円程度の過酷な労働環境の中で応募者は殺到している現実があります。東京都の最低保証賃金は、たしか837円の筈ですが…シャープが希望退職者を募集し、ルネサスが大量の失業者を創りだす現実を日銀総裁は円高容認の発言で笑っているのです。末端の労働環境は厳しいものですね。
この背景は明らかです。政策の失敗を国民に押し付けているのですね。何度も言いますが間違ったメディアの報道により国民は誘導されています。韓国では税金を投入して電力料金を下げて産業育成を図っています。その為にサムソンは最高利益です。まぁ、語弊はありますよ。こんな書き方をすればね。極端な話、減価償却基準も違うし、メーカーを保護するか、絞りたてるかの違いですね。ここにきて大企業が続々と株価下落に見舞われています。ソニーにパナソニック…嘗ての名門企業が内部留保を切り崩し、体力勝負を余儀なくされているわけですね。極端な解説ですが、ハンデ戦で負け続けているのに更に重量を課すのが政策でしょうかね?
国家戦略が明確なら別に文句は言いません。ただ明らかに視界不良な状態を迷走していましたね。民主党政治は官僚の肥大化を念頭に置いているように感じますね。選挙に勝った当初の「国民生活第一」と言うキャッチフレーズは何処かに飛んで官僚政治の復権です。このやり方で失敗したのですね。だから失われた時代に陥ったのです。それを再びやり直しています。消費税法案の通過を目前にして、早くも前提条件の名目成長率の目標を反故にする発言が、民主党の藤井裕久税制調査会長から飛び出しています。「成長と消費税を関連付けるのは間違いだ」と述べていますね。淡い望みの「カタルの仮説A(消費税)」を覆す発言です。
この仮説は優秀な官僚は、理由があって政策を転換しない。その理由は「消費税率の引き上げ」デフレからの脱却は難しい事ではありません。それを実行しないのは消費税の引き上げで、引き上げが確定されれば名目の世界に戻ると読んだのがカタルの仮説です。しかし大蔵官僚出身の藤井氏の発言をみると、逃げの布石を早くも打ち始めています。呆れる官僚政策と言うか、官僚意識ですね。太平洋戦争に敗退しても生き延びる為に、決断を遅らせたミッドウェイやガダルカナル島の戦いを見ているようです。
何故、カタルの仮説が生まれたかと言えば、パナソニックの凋落など一流企業の凋落を見てデフレ政策を転換する頃間と考えています。消費税が引き上がれば、今度は名目GDPが膨らめば税収が自然に増えますから、政策官僚にとっても使えるお金が増えるので、真剣に政策転換を図ると考えた訳です。実に簡単なのです。地価と株価を上げれば消費は増えてインフレ型の経済に向かいます。折しも国債価格は空前の馬鹿高値、利益を成長の原動力に繋げる好環境ですね。銀行は貸し出し競争に向けて準備万端です。実はカタルの邦銀信教も、真髄は政策官僚の政策転換にあります。長く読んでいただいている真の読者には、多少、解説を省いた端を折った表現でもご理解いただけると思います。
株価を考えるうえで背景が非常に重要なのですね。足元の表面上の数字も重要ですよ。最近の市場関係者は短慮ですから仕方ありませんが、未来の利益は政策に影響を受けます。ニトリが上がり続けるのはデフレ政策が背景にあり逆輸入しているからです。自動車が逆境下の中で利益の蓄積を残せるのは、自前の販売網構築と現地生産からマーチのように逆輸入を選択しているからです。シャープが負けたのは、ヤマダ電機の存在や亀井工場に固執したからです。巨額の設備投資を実施する箱もの工場は、直ぐに陳腐化するのです。スピードが命なのに…時間をかける日本村社会の構造が負け組を量産していますね。
日本村の恥部を見れば分かります。鳩山から始まった沖縄問題は誰かが英断を持って独断的にスピーディーに走らねばなりません。馬鹿じゃないか…と考えますね。ご理解が得られる道理がない。根底にある日米同盟から軍隊のあり方まで考える難しい問題に蓋をしているから、こんな曖昧な形が残るのです。島国根性のいやらしさが、日本企業の敗退に繋がっているのです。みんな同じ土壌なのですよ。分かりますかね? 誰もが心に抱える安心・安全の求める豊かな暮らし、こんなものはあり得ないのです。何処まで妥協するかどうか…その線引きを何処で切り、理想を追い求めるか?の選択ですね。
誰もが桃源郷を求め憧れますが現実との戦いがあり、時間に追われる訳です。消費税も定数問題もTPPもみんな待ったなしで決めつけて、先を急がねばなりません。議論はうんざりですね。立場により主張がそれぞれ違うのが当然なのです。国民的な合意などあり得ないのです。国民は政治家が決めた結果をみて、次の選挙で自己主張すれば良いのです。全ては結果次第です。任期満了を待って時間を与え政策の権限を委ね、その結果を選挙に反映するのが民主主義でしょう。一旦、与えたはずの時間途中で、ワイワイ言うメディアはどうかしています。だから国民が惑っているのです。好きなようにやればいいのですね。野田さん。残された時間内で、自分なりに正しいと思う行動を取ればいいのです。
株屋は、私のように政策が間違っていると批判する前に、間違った状況下でもその環境の沿った銘柄を選べばよかったのです。こうあるべき論で、選んだ結果が敗北ですからね。敗者はみじめなものです。視点を変えて市場を眺めれば、国家戦略会議の銘柄だけが上がる訳なのです。
規制の虜か…悪代官に悪徳商人はいつの時代にもいるのでしょう。